金星国連駐在朝鮮代表が去る18日に断行された朝鮮民主主義人民共和国の大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射訓練に関連して20日(米国時間で19日)、国連本部で招集された国連安保理の公開会議で演説した。朝鮮中央通信が20日伝えた。
金星代表は、朝鮮のミサイル訓練は米韓によって作られた危険極まりない「情勢に対処した警告性対応措置」であると指摘、にもかかわらず「米国とその追随勢力の強盗さながらの要求に従って、国連安保理で朝鮮民主主義人民共和国の合法的な自衛権行使を不当に取り扱う不公平で不正常の慣行がまたもや繰り返されたことを強く糾弾し、全面排撃する」と非難した。
また同代表は、イスラエルの民間人大虐殺犯罪を「合法的な自衛権行使」として庇護する一方、朝鮮民主主義人民共和国の自衛権行使に言い掛かりをつける米国の二重基準を厳しく非難し、次のように指摘した。
「国連安保理は米国の強権と専横に振り回されて何をするかが問題ではなく、誰がするかが問題であるというふうの強盗さながらの論理と二重基準が公然と許される不公正な機構に転落した。現実は、国際平和と安全に対する最大の脅威は他ならぬ、国連安保理そのものから来ているということを示している。米国とその追随勢力の不法非道な二重基準行為が許される限り、国連安保理は国際平和と安全に関する問題を取り扱う道徳的・法的資格がない」
金星代表の安保理での演説全文は次の通り。
朝鮮民主主義人民共和国武力が断行した今回の大陸間弾道ミサイルの発射は、年中、持続的に強行されてきた米国をはじめとする敵対勢力の反朝鮮軍事的威嚇行為が一年を締めくくる12月のこの時刻までも、さらに露骨に危険極まりなく極大化されている重大な情勢に対処した警告性対応措置である。
にもかかわらず、米国とそれに盲従する一部の国々は、朝鮮民主主義人民共和国が国連憲章をはじめとする国際法によって公認され、全ての国連加盟国に等しく付与された誰も否定できない主権国家の正々堂々たる合法的権利である自衛権を行使したことについて不法非道に言い掛かりをつけ、またもや国連歴史に恥ずべき記録として残るようになる今回の会議を強行招集した。
私は、米国とその追随勢力の強盗さながらの要求に従って、国連安保理で朝鮮民主主義人民共和国の合法的な自衛権行使を不当に取り扱う不公平で不正常の慣行がまたもや繰り返されたことを強く糾弾し、全面排撃する。
わずか10余日前、まさにこの場でイスラエルの民間人大虐殺犯罪を「合法的な自衛権行使」として庇護し、「イスラエルの自衛権が言及されなかった」という理由で中東事態を解決するための決議案に拒否権を行使した米国が、今日は自分らの軍事的挑発行為に対処して警告性レベルで取られた朝鮮民主主義人民共和国の自衛権行使に言い掛かりをつけること自体が国連憲章に対する嘲弄、無視であり、悲喜劇の極みである。
米国と大韓民国が複雑多端で不幸な今年の年末だけでも平穏の中で過ごそうとする国際社会の志向と念願に逆行して、朝鮮民主主義人民共和国の「政権の終焉」をうんぬんして原子力潜水艦を朝鮮半島地域に送り込む許せない挑発をしかけなかったなら、新年をわずか10余日控えた時点で国連加盟国代表らがイスラエルの大量虐殺蛮行のような国際平和と安全保障に直結した実質的な問題の討議により必要な貴重な時間を費やしながら、国連加盟国の正当な自衛権行使についてどうのこうのというこのように荒唐無稽で不法非道な会議場に座ることはなかったであろう。
2023年が暮れていく今日の時点で、国際社会は米国と大韓民国が「拡大抑止態勢」という夢想から脱して朝鮮民主主義人民共和国に対する軍事的挑発行為を中止したなら、今年の朝鮮半島情勢がこんにちのような極端な域に至っただろうかということを慎重に振り返る必要がある。
世界が目撃したように、今年は米国と追随勢力の無分別な軍事的対決狂気によって朝鮮半島と地域の軍事安保形勢が類例なく重大な危機に瀕した最も危険な一年として、歴史に記録されることになった。
年頭から年末まで、米国は大韓民国と共に「双龍」「連合合同火力撃滅訓練」「ウルチ・フリーダム・シールド」をはじめとする侵略的性格が明白な合同軍事演習を次々と行ったし、朝鮮民主主義人民共和国に対する核兵器使用を政策化した「ワシントン宣言」というものをつくり上げ、核先制攻撃を計画、作戦、実行することを使命とするいわゆる「核協議グループ」というものを稼働させた。
今年、米国は「戦略資産の可視性増大」の美名の下、朝鮮半島地域に戦略原子力潜水艦ケンタッキーをはじめとする6隻の原子力潜水艦を投入し、ニミッツとロナルド・レーガンをはじめとする原子力空母打撃集団を次々と送り込んだし、B1B、B52H戦略爆撃機を20余回にわたって展開した。
年中、絶えず強行される米国の核戦略資産の展開と大規模の合同軍事演習によって朝鮮半島地域は文字通り、米核戦略資産の総集合基地、最も不安定な核戦争危険区域に変わった。
このような現実は、朝鮮半島地域で修辞的に、また行動的に軍事的緊張の水位を一方的に引き上げて情勢激化の悪循環を招いた行為者が他ならぬ、米国と大韓民国であるという事実を明白に示している。
一部の国々がわれわれのいわゆる「核脅威」に対処するという美名の下、「拡大抑止態勢」を強化するしかないという米国と大韓民国の一方的主張にのみ耳を傾けるのは、真実に顔を背ける極端な二重基準の典型的表現である。
国際社会は、米国と大韓民国ではなく、その反対側に立って朝鮮民主主義人民共和国が感じている安全懸念についても一度考えてみる必要がある。
米国と大韓民国がわれわれの面前で原子力潜水艦を含んで、一国家を焦土化して余りある膨大な侵略武力を配備して時を構わず挑発的な核戦争演習を繰り広げているが、まさにこれが朝鮮民主主義人民共和国の安全利益に対する侵害でなくて何であるのか。
刃物をくわえて襲いかかる敵手を前にして抵抗しない人がどこにおり、どの国が自国の門前で繰り広げられる敵国の大規模の軍事訓練に無関心、無防備状態でいるであろうか。
任期の末期にあるか、未来のない米大統領のような人間なら無感覚にいるかも知れないが、尊厳ある主権国家である朝鮮民主主義人民共和国は絶対にそうはしない。
正常な思惟を持つ人なら、米国と大韓民国の安全脅威に対する朝鮮民主主義人民共和国の対応が至極正当で正常的であり、反射的な反応であることについて難なく判断できるはずである。
現在、国連安保理は米国の強権と専横に振り回されて何をするかが問題ではなく、誰がするかが問題であるというふうの強盗さながらの論理と二重基準が公然と許される不公正な機構に転落した。
現実は、国際平和と安全に対する最大の脅威は他ならぬ、国連安保理そのものから来ているということを示している。
米国とその追随勢力の不法非道な二重基準行為が許される限り、国連安保理は国際平和と安全に関する問題を取り扱う道徳的・法的資格がない。
もし、米国とその追随勢力が不法無法の国連安保理の対朝鮮「制裁決議」履行をうんぬんしてわが国家の自主権をまたもや侵奪しようとするなら、それは必ず国連憲章に明示された主権国家の正当な自衛権行使を誘発させることになるであろう。
この機会に、われわれは米国と大韓民国が継続的に無謀で無責任な軍事的威嚇行為で朝鮮民主主義人民共和国の自主権と安全利益を侵害しようとするなら、朝鮮民主主義人民共和国武力はそれを絶対に座視しないであろうし、それから招かれる全ての事態の全責任は挑発者が負うことになるということを改めて厳重に警告する。
朝鮮民主主義人民共和国は今後も、米国とその追随勢力が加えるいかなる威嚇に対しても即時的、圧倒的、決定的な対応措置で制圧、統制することのできるより進化した形態の戦略的力を引き続き培っていくであろうし、正義の国際社会と共に主権尊重と内政不干渉、正義と平等に基づいた自主化されて平和な新しい国際秩序を樹立するために極力努力するであろう。(了)