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MK通信(66) 感染者ゼロを維持している朝鮮の危機管理と防疫体制

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  新型コロナウイルス感染症が世界に広まる中で朝鮮は幸いにも感染者ゼロを維持している。
迅速に非常態勢に移行
これは新感染症の危険性をいち早く見抜き強力な非常態勢を発足させ対処した朝鮮の危機管理能力の高さを示すもの。また 新型コロナウイルス感染症パンデミックを起こしている中で現在まで感染者ゼロを維持しているのは、「労働新聞」の表現を借りれば、針を通す隙間もない徹底した非常防疫体制がもたらした結果である。
 朝鮮は当初から、ワクチンもなく、感染経路、潜伏期間等々何一つ化学的に解明されていないばかりか、感染速度が速い新型コロナウイルス感染症流入を許せば大きな災いをもたらすとの強い危機意識を表明し、党と国家の最優先課題である人民の生命財産を守るために国内感染を防がなければならないとの認識を示した。この姿勢に基づき、迅速に非常態勢に移行し、国内への感染を防止することに成功している。朝鮮の強い危機意識と対策が正しかったことは、コロナウイルス感染症が国際的大流行を起こしている現在の状況をみれば一目瞭然だ。
 本コラムですでに重ねて指摘(M.K通信 63 感染症を反朝鮮宣伝に利用する「悪魔化」プロパガンダ)したように、ワクチンのない正体不明の感染症の前には、どの国の医療も脆弱であるしかない。にもかかわらず米国と日韓の強硬勢力は朝鮮がいち早く国境を閉じ非常態勢に移ったのは、「医療が脆弱なため」と誹謗中傷した。米国をはじめとする西側諸国自慢の「先進医療」が新型コロナウイルスに対処できず崩壊する危機に直面していることは、朝鮮を貶めるために作り上げた論理がいかに愚かで稚拙なものであるかを如実に物語っている。
偽情報
 にもかかわらず米国は、中国、イランに対する姿勢が示すように、国際的に協力して克服すべき新型コロナウィルス感染症を「兵器化」しようとしており、日韓の親米強硬勢力は「感染者がいる、死亡者が出た」などの偽情報を執拗に流し続け朝鮮がまるで感染者の存在を隠しているようなイメージを作り出そうとしている。感染者がいるなら朝鮮が世界保健機関 (WHO )に報告しない理由はない。 偽情報をつぶさに見てみるとそこには合理的思考のかけらもなく、 ただただ「感染者がいる」ことを広めることに照準を定めてるように見える。
 平壌に常駐事務所を設置している WHO タリク・ヤシャレビチ報道官は、朝鮮から2月9日までの6週間にわたり約7300人の入国者を検疫したとの報告を受けたと発表。そのうち141人に発熱が見られ、検査を受けたが、いずれも陰性だったとした。「2月9日までの6週間」といえば、昨年末までにさかのぼり入国者の検疫を行ったことを示しており、朝鮮の徹底した感染予防の一端を垣間見ることができよう。また3月5日スイス・ジュネーブのWHO本部で開かれた記者会見でマイケル・ライアンWHO緊急対応チーム長は「北朝鮮新型コロナウイルス発症地域に隣接しており危険な状況だが、WHOにはまだ(陽性判定)事例に関するいかなる報告もない」と述べている。
衛生防疫態勢を国家非常防疫態勢に転換
 朝鮮が実質的に非常態勢に突入したのは、観光客の受け入れ中止を表明した1月20日。21日には、中央衛生検疫所、国家品質監督委員会の幹部が朝中国境、港湾、飛行場などの重要通過地点、輸出入品検査検疫所に派遣され非常態勢に入っている。
 朝鮮の非常設中央人民保健指導委員会が衛生防疫態勢を国家非常防疫態勢に転換することを宣言、中央と道、市、郡に非常防疫指揮部を正式に発足させたのは24日のこと。(「朝鮮新報」3月5日付)。非常防疫指揮部には党及び 人民政権機関、人民保安、司法検察機関、人民軍の責任幹部が網羅されており、党と政権機関、軍までも網羅した組織を立ち上げるには最低でも2週間程度の時間は必要であろう。 このことから朝鮮が、1月初旬から準備を進め非常防疫指揮部の正式発足を待たずに、1月20日を起点に行動に移ったことがわかる。
 非常防疫指揮部は7つの分科で構成されている。綜合、封鎖及び検疫、衛生宣伝、検閲、対外、薬務、治療の7つだが、2月初旬には政治分科が加わり、中央と地方の非常防疫指揮部にはかなり強力な権限が付与されているとみられる。封鎖及び検疫分科では、国境封鎖と隔離・医学的監視、輸入品の検査検疫等、薬務分科では、薬品、消毒液、防護服等々の保障、治療は、感染者が出た場合に備えた病室の確保、治療対策などと地域担当医師を通じた感染の疑いがある住民の隔離治療、検診等が主な仕事であろう。朝鮮では現在まで幸いにも感染者が出ていないが、感染確診者に備えた病室の確保、治療準備なども行っていることが、朝鮮のマスコミで報じられている。
 朝鮮では1月20日からの観光客受け入れ中止に続き、国際列車、飛行便が止められたのは1月末のこと。この時までの外国人入国者、出張者、彼らとの接触者すべてが隔離・医学的監視の対象者であった。重点的な医学監視対象者は1月13日から末までの入国者、出張者で、より穏やかな隔離・医学監視対象になったのは、前述の通り、2月9日までの6週間に渡る入国者と接触者とみられる。
 昨年秋に入国した朝鮮新報平壌特派員盧琴順記者によれば、支局のある平壌ホテルも2月4日に封鎖され、その理由について盧琴順記者は平壌発で次のように指摘した。
 「1月13日以降に中国を経由して入国した海外同胞、外国人は新型コロナウィルスの侵入を徹底的に阻止するための対策として隔離施設で過ごすことが義務付けられた。平壌ホテルは隔離対象者たちが立ち寄った、あるいは1日でも滞在していたとのことから、2次感染の疑いが懸念されるとして医学的監視対象施設として指定されたのだ。」(朝鮮新報3月6日付)平壌の大使館が集まる一角が封鎖されたのも同様の理由であると推察される。以前から平壌にいた中国大使も例外ではなかったというから、その徹底ぶりは推して知るべしだ。
「感染者が一人も出ていない」
 オ・チュンボク朝鮮保健相(非常防疫指揮部綜合分科長)は2月18日、朝鮮中央テレビのインタビューに答えて「新型コロナウィルス感染者が一人も出ていない」と述べた。政府の担当閣僚で非常指揮部のまとめ役である保健相の発言は、実質的な非常態勢に入った1月20日から約一か月、コロナ感染の可能性がある人々の医学的監視と徹底した防疫予防の成果に基づいたものであった。
 それでも朝鮮が医学的監視対象者の隔離解除に動き出したのは30日の監視機関が過ぎた3月初旬。外交官などの解除は6日、13日、19日に報じられ、19日現在3人を残し外国人は解除された。国内でも数千人が順次解除され、社会活動も徐々に正常へと向かった。
 エイブラムズ在韓米軍司令官は13日にテレビ会見を行い、朝鮮で「感染者が出ていることはほとんど間違いないとみている」と述べ、その根拠として「北朝鮮軍が約30日間にわたって軍事活動を停止していた」と語った。(時事通信3月14日)
 朝鮮が砲兵部隊の火力打撃訓練を行ったのは2月29日のことだが、それまでの30日間といえばコロナ感染を防ぐために行った医学監視対象者の隔離期間と一致することがわかる。朝鮮は慎重にも慎重を期して国内感染がないことを確認したうえで火力打撃訓練を行った。もし感染が確認されていたとしたら米韓軍と同様に、感染をより広げる危険を避けて訓練を行っていなかったはずだ。エイブラムズ司令官の「30日発言」は、皮肉にも朝鮮で感染者が出ていることの証明ではなく、感染者がいないことが確認された30日であったわけだ。
 朝鮮の医療、防疫体制について述べれば、中央から道、市、郡、里の末端にいたるまで人民病院と診療所が整えられている。また予防医学を実践するために人民病院と診療所の医師による地域担当制が組まれており、担当医師は地域民の健康状態を把握している。この体系をフルに動かし感染経路が定かでないコロナウィルスが住民世帯に入り込んでいないことを確認した。
 また衛生防疫体制も中央から地方の末端まで整然と組織されている。朝鮮戦争最中の1952年に米軍が細菌戦を実行したことは広く知られている。周知のように朝鮮半島は今だに休戦状態にあり戦争は続いている。このような中で細菌戦を仕掛けられ大きな被害を被った経験を持つ朝鮮で細菌戦に対応できる防疫態勢を整えることは必須の課題になる。米国とその下請けライターが朝鮮の医療、防疫体制が脆弱だと中傷したのは、彼らが朝鮮に対して全くの無知であることの証明に他ならない。
根拠なき疑い
 最後に指摘して置くが、中国と長い国境を接した朝鮮で感染者がいないはずがないという漠然とした疑問についてだ。この疑問は朝中関係と、朝鮮と国境を接した遼寧省吉林省での感染状況を無視した根拠なき疑いだ。
 まず、知るべきは朝鮮と武漢の間では直行便もなく観光客もいないという事実。人的往来がないのだ。また朝鮮の新義州と対面する丹東でコロナ感染者が確認されたのは1月23日。この感染者が武漢から丹東に戻ったのは21日。つまりコロナ感染が国境沿いの遼寧省吉林省に波及したときにはすでに朝中の国境は閉じられていたのだ。さらに2月19日時点での感染者は遼寧省が121人、吉林省が90人。これを頂点に終息に向かっており、国境線が長いことだけで感染を疑うことに合理性がない。
 このような状況で朝鮮が行った国境封鎖と強力な防疫予防によってコロナ感染が封じられたと言えよう。
 今までのところ朝鮮の非常防疫措置が極めて有効に作用していることは疑いない。国際的に経験を分かち合い協力して対処すべき新型コロナウィルス感染症を政治的な武器にして他国を攻撃することは許されることではない。(M.K)
【お断り】
※MK通信(66)は、高麗ジャーナルに掲載(3月27日)されたコラムです。筆者であるM氏が当サイト立ち上げに深くかかわったことから、M氏及び当サイトと高麗ジャーナルさんの協議により、MK通信を両サイトで同時に掲載することにしたことをお知らせします。