朝鮮中央通信社は10日,「米国と西側が騒ぎ立てる『世界の分裂』は『一極世界』の最終的破滅像を見せるだけだ」と題する論評を発表した。
論評は、第2次世界大戦以降米国は世界制覇を対外戦略実現の基本目標に掲げありとあらゆる悪行を重ねてきたが、「こんにち、世界は米国をはじめとする帝国主義勢力に正面切って挑戦する反帝・自主勢力の急速な成長によって、『唯一超大国』の強権と専横がむやみに通じない世界、多極化された世界に引き続き変化して」おり、「米国の『一極世界』が海辺の砂城のように瞬間に終焉を告げるのは、今や時間の問題である」であると強調した。
以下は論評の全文。(中見出しは編集部)
こんにち、世界は米国をはじめとする帝国主義勢力に正面切って挑戦する反帝・自主勢力の急速な成長によって、「唯一超大国」の強権と専横がむやみに通じない世界、多極化された世界に引き続き変化している。
米国をはじめとする西側諸国が、国際問題を論じるたびに「世界の分裂」についてよく唱えている。
国連第78回総会でも「ますますより分裂する世界の面貌」だの、「過去の10年間、西側諸国とロシア、中国およびその他の国間の分裂が深化している」などと言って、国際社会にいわゆる「災難」でも押し寄せたかのように言いふらした。
「新冷戦構図が固まっていく状況」についてうんぬんし、われわれと隣邦であるロシアとの協力まで世界分裂の原因にまどわしている。
世界を反目と対立、火と火が飛び交う戦乱の乱舞場につくった主犯が、自分の方から先に心配うんぬんを並べ立てているのだから、開いた口が塞がらない。
米国が願う「世界」とは、人類が志向し、念願する自由で平和な世界と根本的に異なる、すなわち、自分らの支配と操りによって動く世界、アメリカ式自由民主主義がはびこる世界であると考える時、なおさらそうである。
世界制覇を対外戦略実現の基本目標に
第2次世界大戦以降、米国は帝国主義のかしらに登場した機会を利用して、世界制覇を対外戦略実現の基本目標に公然と掲げた。
米大統領トルーマンが1945年12月19日付の「教書」で、「われわれは第1次大戦後、ウィルソン大統領がわれわれに付与することを願った指導的地位を今や引き受けるようになった」と言って、米国が喜んで「世界を指導」する使命を受け持つべきだと力説したのは、「自由民主主義擁護」の美名の下、自国主導の世界支配秩序を確立するということを宣布したこと同様であった。
実際に、米国は自国のドルが資本主義世界の基軸通貨になったのを利用して西欧資本主義諸国を米国主導の国際金融システムに従属させたし、経済「援助」と侵略的な軍事同盟をつくり上げる方法などで資本主義諸国を2重、3重に徹底的に掌握した。
資本主義陣営に対する支配を実現した後、米国は追随諸国と共に「共産主義脅威」から「自由世界」を保護するという美名の下、冷戦を宣布して社会主義陣営を崩壊させるための策動に全面的に取り組んだ。
旧ソ連を含む東欧社会主義陣営の崩壊によって、それほど願っていた「唯一超大国」という覇権的地位を占めることになった時には、「対テロ戦」という新たな戦略を考案して実行に移すことで「一極世界」を維持するための強盗さながらの侵略戦争、国家テロ犯罪を引き続き悪辣(あくらつ)に強行した。
わが共和国とイランなど、自分らの気に障る幾つかの反帝・自主的な国々に「悪の枢軸」「暴政の前哨基地」「テロ支援国」のレッテルを張りつけて「対テロ戦」の主たる目標とする行為もためらわなかった。
一時、欧州での共産主義伝播を防ぐために欧州連合(EU)の創設を積極的に支援した米国は後日、同盟がその大きな人的・物的潜在力と政治的・軍事的能力によって自分らの「一極世界」に挑戦しうる一つの極になる可能性が生じるようになると、英国のEU脱退をあおり立てるなど、同盟を破壊、凋落させるための卑劣な策動を各方面から働いた。
「一極支配」固守に執着する米国
こんにちにも、米国は地域および世界的な強国と共同体の出現を「一極世界」に対する大きな挑戦、危険因子と指定し、世界を「民主主義」対「権威主義」という敵対的な二つの陣営に分けて自分らの「一極支配」システムを固守するための政治的・経済的・軍事的圧迫策動に引き続き暴威を振るって執着している。
反帝・自主のとりでであるわが国家を抹殺し、北東アジア地域での覇権的地位を維持するために核兵器の使用を目的とした「核協議グループ」を稼働させ、これに戦犯国である日本まで引き入れて3角軍事同盟システムの樹立を完成しようとのさばっている。
米国の覇権主義的策動によって今、朝鮮半島を含む北東アジア地域では殺傷力と破壊力において広島や長崎の惨事の数十倍をしのぐ核爆弾を装備した戦略核爆撃機と超大型戦略原潜、原子力空母打撃団など、各種の核打撃手段がより頻繁に出没し、ヒステリックな連合訓練が強行されて新たな熱核大戦の勃発(ぼっぱつ)が既定事実化している。
潜在的ライバルをけん制するためにインド太平洋経済枠組み、「半導体4者同盟」「AUKUS(オーカス)」「クァッド」「ファイブアイズ(五つの目)」など、新しい政治的・経済的・軍事的対決の実体を次々とつくり上げ、前例のない規模の圧迫攻勢を加えている。
去る1月には、オランダと日本から厳格な対中国輸出統制措置を実施するという約束を取り付けたかとすれば、ウクライナに対する絶え間ない軍事的支援でロシアを衰退の奈落に追い込もうと画策している。
米国など、西側が追求するNATOの「東進」政策とウクライナに対する悪辣な軍事的支援策動によって欧州大陸では世紀的な動乱が持続しており、米行政府の不公正で偏見的な中東政策によって地域では血なまぐさい武力衝突と殺りく蛮行が絶え間なく強行されている。
「一極世界」維持のために「パンドラの箱」を開けた米国が今になって「世界が分裂した」などと言って不安と危惧の念を隠さずにいるのは、この世界が決して自分らの願う方向に進化していないということを示唆している。
圧迫がある所には反抗があるものである。
多極化された世界に引き続き変化
こんにち、世界は米国をはじめとする帝国主義勢力に正面切って挑戦する反帝・自主勢力の急速な成長によって、「唯一超大国」の強権と専横がむやみに通じない世界、多極化された世界に引き続き変化している。
堅実な反米国家であるわが共和国が世界的な核強国に急浮上することによって米帝の覇権野望はこれ以上実現できない妄想になってしまったし、ロシアと中国をはじめとする新興大国の出現も米国の支配策動に強いブレーキをかけている。
無視できない政治および経済勢力であるBRICS(新興5カ国)が自分の存在感を一層浮き彫りにし、米国主導の一極化に反旗を翻して立ち向かっている。
世界の総生産額においてすでにいわゆる西側世界で最も経済力が進んでいるという「主要7カ国」をしのぐBRICSが、アルゼンチン、イラン、サウジアラビア、エジプトなど当該地域で経済力を誇る国々を正加盟国に新たに受け入れることによって新しい世界経済秩序を構築することのできる可能性を持つようになったし、反米的な立場を堅持している多くの国々、はては親西側的な政策を実施してきた国々まで米国に背を向けてBRICSと手を取り合っている。
ロシア大統領のウラジーミル・プーチンは、米国の現執権層とその追随者が世界的な不安定の基本受益者であると述べ、米国は自分らが弱化しており、地位を喪失していることを知っている、アメリカ式世界、すなわち覇権主義者が支配する世界は崩れており、徐々に過去のものになっていると確言した。
「一極世界」崩壊に恐怖する米国
第9回BRICS国会フォーラムに参加したイラン国会議長は、BRICSが米国の唱える「一方主義」を防止し、変化する世界政治構図の中で新しい世界秩序樹立のために重要な役割を果たすことのできる力強い手段であると言明した。
現実は、西側勢力が並べ立てる世界分裂うんぬんとは本質上、米国主導の「一極世界」崩壊に対する凄絶なわめき、多極化へ向かった人類の力強い前進に対する極度の恐怖心の発現であることを示している。
古いものが滅び、新しいものが勝利するのは阻むことのできない歴史発展の法則である。
帝国主義支配システムを終息させ、自主性に基づいた公正で正義の新しい国際秩序の樹立に向けた努力が非常に強化されているこんにち、米国の「一極世界」が海辺の砂城のように瞬間に終焉(しゅうえん)を告げるのは、今や時間の問題であるだけだ。(了)