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【解説】突如朝米首脳が「再び会談すべき」と公言した文在寅大統領の狙いは

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米国の長期的な軍事的脅威を管理するためのより確実な力を培う

「交渉のテーブルに復帰させるため」

 文在寅大統領が突如、朝米首脳が米大統領選挙前に「再び会談すべき」との見解を表明した(6月30日)と伝えられる。これを受けて韓国外交部と統一部は、「北朝鮮を交渉のテーブルに復帰させるため『全方向の外交努力』を続ける」(康京和外相、2日)「政府も米朝対話が早期に再開されるよう努力していく」(統一部)と、コメントしている。

 文在寅政権によるこの唐突な動きは米国との事前協議のうえで行われているようだ。文大統領が朝米首脳会談の必要性を説いた6月30日、オブライエン米大統領補佐官がVOAと会見し、「北朝鮮が・・・持続的かつ実質的な交渉に復帰することを引き続き求める」と強調したのは偶然ではあるまい。

 康京和外相とオブライエン補佐官が口裏を合わせたかのように「北朝鮮を交渉のテーブルに復帰させるため」「持続的かつ実質的な交渉に復帰・・・」などと述べていることから、文大統領の朝米首脳会談発言の狙いが、朝鮮を非核化交渉のテーブルに引き戻すことにあることは明らかだ。

 目的は、朝米、南北の対話の糸を繋げて、朝鮮に一方的非核化を強いる関与の道を確保することにある。

 朝鮮が、トランプ大統領が持ち出した「リビア方式」を批判し新しい計算法を求めたが、米国が拒否したことで、朝米非核化交渉が幕を閉じことは周知の事実。朝鮮は今年初から米国の圧迫と制裁に対する正面突破戦を宣言、米国が敵対政策を撤回しない限り対話には応じず、ICBM実験中止などの実質的な“核凍結”措置を解禁して核抑止力を強化する姿勢を示している。朝米対話が断絶した中で残ったのは、南北間の細い糸だけだったが、文在寅政権が首脳会談の約束を守らず、米国とともに敵対行為を続けたことで、北南共同連絡事務所の爆破を招き、南北間の細い糸も切断された。

 米国、韓国とも、その敵対政策が招いた当然の結果ではあるが、これは朝鮮に対する関与の道、非核化への関与の道をを閉ざされたことを意味する。

 韓国のイ・ジョンソク元統一部長官は1日に行われたムン・ジョンイン大統領特別補佐官との対談で、「北朝鮮の核放棄が絶体絶命の課題なら、そこに選択と集中をしなければならない」と、文在寅政権に彼なりの苦言を呈した。

同氏の発言で示されたように、米韓にとって「北朝鮮の核放棄が絶体絶命の課題」なのだ。しかし非核化を実現する方法は対話以外にない。“外科手術”は核戦争に繋がりかねない危険があり、とても選択肢になりえないことはあきらかだ。

 朝米、南北の対話の糸が切られたことで、「絶体絶命の課題」である非核化に関与する道を失った。韓米にとって致命的な痛手になりかねない。

“核凍結”の留め金も外れた

 朝米シンガポール合意、板門店合意などの南北の首脳合意を踏みにじった米韓の敵対政策によって平和への流れが絶たれ、朝鮮自らが進んで取った、実質的な“核凍結”の留め金も外れたのだ。朝鮮が宣言しているように核抑止力の強化は避けられない。ICBMに水爆を備えた国家核戦力が増強されれば、非核化の道はより難しくなり閉ざされることになるのは目に見えている。

 朝鮮の非核化を「絶体絶命の課題」とするトランプ政権と追従する文在寅政権にとっては最悪の結果だ。

 朝鮮が決然と対話を拒否しているのに、米韓が対話を懇請し続けてきたのは、何としても非核化への関与の道を探るための悪あがきといえる。

トランプ大統領が今年に二回にかけて親書を送り、3月の親書ではコロナに関連、「心からの支援構想」が表明された。また文在寅政権は、食糧支援、医療支援、森林協力などを国連制裁委員会の許可を得たとしながら提案した。

 しかし、これらの提案には全く真実味も、現実的可能性もなかった。まず意図において、米国は圧力と制裁をより強め、文在寅政権はビラ問題でも指摘されたように、首脳合意を守らないばかりか、表面では笑い裏では敵対の牙をむく卑劣な行為を繰り返す中での偽善的な提案であった。さらに、朝鮮の発表を信じず、朝鮮にコロナが蔓延し、食糧危機などの経済的困窮という、誤った分析に基づいた提案で、当然のように一蹴された。

 朝鮮外務省の対米協商局長は3月30日に発表した談話で、「米国が熱心に提唱する対話の再開も結局はわれわれが行く道を立ち止まらせるための誘因策に過ぎない」と指摘した。

 「われわれが行く道を立ち止まらせるための誘因策」との指摘が示すように、米韓の目標は、朝米、南北対話を再開させ、最低でも朝鮮のICBM実験中止などの現在の“核凍結”レベルを維持させ、時間を稼いで、武装解除体制崩壊を追及することに狙いがあるとみられる。

 文在寅大統領が突如持ち出した朝米首脳会談もこの狙いに沿ったもので、現実味はない。また朝鮮に事前に根回ししている痕跡も全くなく一方的プロパガンダの域をでていないようだ。

より確実な力を培う

 朝鮮側は再三に渡って、米国の敵対政策が撤回されない限り対話の再開はないと表明している。さらに制裁の解除に恋々とせず圧力を正面突破する意志を鮮明にしている。

 最後に李善権朝鮮外相が6月12日に発表した談話の密接を引用して置こう。

「米行政府は、不当極まりなくて時代錯誤の行為で一貫した2年間を通じて、自分らが唱えてきた朝米間の『関係改善』はすなわち体制転覆であり、『安全保証』は徹底した核先制攻撃であり、『信頼構築』は変わらない対朝鮮孤立・圧殺を意味するということを隠すことなく曝け出した。

諸般の事実は、長々70余年間続く米国の根深い対朝鮮敵視政策が根源的に終息しない限り、米国は今後も我が国家、我が体制、我が人民に対する長期的脅威として残っているということを再び明白に実証している。

・・・

我が朝鮮の変わらない戦略的目標は、米国の長期的な軍事的脅威を管理するためのより確実な力を培うことである。」(了)