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朝鮮半島の非核化問題に対する朝鮮政府の立場

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 以下に、朝鮮半島の非核化に関連して、朝鮮が2016年7月6日に発表した「朝鮮民主主義人民共和国政府スポークスマン声明」の全文を翻訳、紹介する。

 2018年にはじまった朝鮮半島の平和と非核化をめぐる朝米会談は、米国が朝鮮に対する敵対政策を撤回しないことが原因で頓挫している。

 この政府声明には朝鮮半島の非核化に対する朝鮮政府の原則的立場が示されている。2016年に発表されたものだが、朝鮮政府の基本的な立場は当時も現在も変わらない。朝鮮半島の非核化に関する朝鮮政府の立場を知るうえで欠かせない文献と判断、紹介する。

(翻訳本サイト編集部、中見出しも)

朝鮮民主主義人民共和国政府スポークスマン声明(2016.7.6)

戦略的選択

 核のない世界、戦争を知らない平和的な世界で自由に幸せに暮らそうとすることは人類の共通した志向であり願いだ。

  特に数十年間アメリカの絶え間ない核の脅威と恐喝を受けて戦争でも平和でもない不安定な環境で生きてきたわが民族にとって非核化に対する熱望はその誰よりも 強い。

  歴代の指導者は早くから朝鮮半島の非核化を実現しわが民族に平和で富強繁栄する統一祖国を抱かせるために全ての労苦と心血を注ぎ、できるすべての努力を傾けた。

 朝鮮半島の非核化は偉大な指導者と父なる将軍の遺勲であり敬愛する金正恩同志の指導に従い前進する我が党と軍隊、人民の揺るぎない意志だ。 

 われわれが万難を排して外勢の核脅威と核先制攻撃を充分に制圧することができる威力ある抑止力を備えたのも、最終的に朝鮮半島に永久的な平和体制を構築し、さらには半島全域の非核化を実現するための必須不可欠の戦略的選択であった。

 歴史的な朝鮮労働党第7回大会では威力ある核抑止力に依拠して米国によって強要されている核戦争の危険を根源的に終息させ地域と世界の平和を守護し、敵対勢力が核でわれわれの自主権を侵害しない限り先に核兵器を使用しないばかりか、国際社会に負った核拡散防止義務を誠実に履行し世界の非核化を実現するために全ての努力を傾ける政策的立場を明らかにした。

 すでにわれわれはそれを貫徹するために新しい段階の闘争に入っている状態だ。

 しかし米国と南朝鮮当局をはじめとする反共和国敵対勢力は依然としてわれわれの核が朝鮮半島と世界の平和に対する「脅威」になるとか、「北非核化」が先行する前にはどのような問題も解くことはできないという詭弁を執拗に並べながら内外の世論を欺いている。

 朝米間の停戦協定を平和協定に変えるわれわれの建設的提案も「先北核放棄」という荒唐無稽な前提条件を付けて拒否しているばかりか、北南関係改善と祖国統一のためのわれわれの誠意ある提案と対話努力に対しても「先北核放棄」の悪声で全面挑戦している。

 特に朴槿恵一味は「先北核放棄」を乞食外交の万能の方便としてあちこちを忙しく駆け回り、機会あるたびにわれわれに対する制裁と圧迫共助を乞うためあらゆる醜態を演じている。

 これは朝鮮半島非核化の本末を完全に転倒させた愚かな行為で、名実共に核戦犯者が自身の悪臭漂う正体は伏せたままわれわれの核放棄を強要してみようとする笑止千万な妄動と言わざるを得ない。

朝鮮半島全域の非核化

 明確にしておくが、われわれが主張する非核化は朝鮮半島全域の非核化である。

 これには南の核廃棄と南朝鮮周辺の非核化が含まれている。

 米国と傀儡一党には、朝鮮半島問題を生み出し悪化させてきた主犯として「北非核化」について騒ぐ初歩的な資格も体面もない。

 去った世紀の50年代、朝鮮戦争の時原子爆弾恐喝でひとつの家族、血を分けた民族を北と南に分ける堪えがたい苦痛を強いたことでも満足せず、戦後南朝鮮に1000個以上の各種戦術核兵器を持ち込み様々な北侵核戦争演習を絶え間なく行いながらわが共和国に前代未聞の核脅威を加えてきたのは外でもない米国だ。

 この地に常時加えられる無分別な核戦争の脅威を終息させ平和的な方法で朝鮮半島の非核化を実現するためのわれわれの主導的な努力によって1990年代のはじめに朝鮮半島の非核化に関する共同宣言が採択されたが、これを露骨に踏みにじり死文化させた張本人も外でもない米国と傀儡一党である。

 米国は核兵器の存在を認めも、否定もしない「NCND政策」を標榜しながら、傀儡一党を前に立て南朝鮮への犯罪的な核兵器搬入を続ける一方、われわれに対する核脅威の強度を体系的に強めてきた。これによって朝鮮半島の非核化は挫折を余儀なくされた。

 同族対決に狂奔する南朝鮮親米保守勢力は朝鮮半島で核覇権を維持しようとする米国の策動に積極的に同調しており、特に朴槿恵一味は戦時作戦統制権転換までも無期限延期して米国の3大戦略核打撃手段をすべて引き入れ核戦争の火をつけてみようと狂ったようにあがいている。

 世界最大の核保有国である米国に相対するためにわれわれが水素爆弾を含めた、小型化、軽量化、多種化された核弾頭を保有し最先端戦略打撃手段を整備したのはあまりにも当然で必然的である。

 米国と朴槿恵一味が口角泡を飛ばしながら「北核脅威」を叫んでいるが、これは事実上われわれが保有した強力な核抑止力によってこれ以上核の棍棒を自由に振り回すことができなくなった自壊心から来る憂さ晴らしに過ぎない。

世界の良心に問う

 われわれは世界の正義と良心に問う。

 そう米国はいつでも決心すれば核兵器はもちろんそれ以上のものも使用できるが、他の国はその凄まじい災難と火の攻撃を、すべて座ったまま甘んじなければならないという奇怪な論理が今日の国際社会に通用する万能の法則なのか。

 どうして核を振り回しわが民族、わが同胞に莫大な不幸と犠牲を強いている米国に対してはただの一回も核放棄を要求しないで、その最大の被害者であるわれわれに対してだけ核を

捨てろと強迫するのか。

 これこそがわが共和国の自主的尊厳と生存権に対する最も乱暴な蹂躙であり深刻な侵害ではないのか。

 米国と傀儡一味をはじめとする追従勢力がしつこく唱える「北非核化」がどのような場合でも通用しない根本理由はここにある。

 自身の核優位を持続させわが共和国に対する侵略野望を必ず実現しようとする米国と、米国に全的に追従してきた傀儡一党は誰かの核放棄を云々する前に朝鮮半島の平和と非核化のためのわれわれの闘争を体系的に妨害してきた罪悪の過去から顧みなければならない。

 荒唐無稽にも「核脅威」と「挑発」の責任をわれわれに押し付け一方的な「北核放棄」を主張するのではなく、自分の手で作った核問題を自分の手で解く道に出て来なければならない。

 その道は「先北非核化」ではなくわれわれに対する核の脅威と恐喝の根源から完全に除去することからはじめなければならない。

 数十年の歳月、罪のないわが民族、わが同胞にあらゆる脅威と恐喝を加えてきた侵略の核が優先的な除去の対象であり、さらには地球上で帝国主義の核の脅威と専横が完全に清算されるなら米国と傀儡一党が恐れるわれわれの核問題は自然に解決されるであろう。

 これが問題解決のすじ道であり順序だ。

侵略の核が優先的な除去対象

 米国と南朝鮮当局が朝鮮半島の非核化に一抹の関心でもあるなら次のようなわれわれの原則的要求から受け入れなければならない。

 第一、南朝鮮に持ち込み是認も否認もしない米国の核兵器から全て公開しなければならない。

 第二、南朝鮮で全ての核兵器とその基地を撤廃して世界の前で検証されなければならない。

 第三、米国が朝鮮半島とその周辺に随時展開する核打撃手段を二度と持ち込まないということを担保しなければならない。

 第四、どうのような場合でも核で、核が動員される戦争行為でわれわれに脅威を加え恐喝したり、わが共和国に反対し核を使用することがないことを確約しなければならない。

 第五、南朝鮮から核の使用権限を握っている米軍の撤収を宣言しなければならない。

 米国と南朝鮮当局が心から朝鮮半島の非核化と核兵器がない世界、平和な世界を志向するならこのようなわれわれの正当な要求を受け入れられない何らの理由もないはずだ。

 このような安全担保が実行されるならわれわれもまたそれに見合う措置を取ることになり、朝鮮半島の非核化実現で画期的な突破口が開かれることになる。

 われわれはこの機会に、南朝鮮当局者たちに、目の前に広がる現実をしっかり見て、主人と相槌を打ちながら「北非核化」で生きる道を探そうとこれ以上悪あがきしないことを忠告する。

 われわれの原則的要求に引き続き目を背けるなら、時間の流れとともにわれわれの核は質、量的により強化され、その威力は想像を絶する高度化の境地に達するということを肝に銘じなければならない。

 朝鮮半島の非核化は全的に米国と南朝鮮当局の態度と行動いかんにかかっている。