金正恩朝鮮労働党総書記が9月9日、朝鮮民主主義人民共和国創建76周年に際して「偉大なわが国家の隆盛・繁栄のために一層奮闘しよう」と題する綱領的な演説を行った。
「労働新聞」が10日伝えた。
以下は同紙の報道要旨。(中見出しは本サイト編集部)
金正恩総書記は演説で、わが祖国である朝鮮民主主義人民共和国の創建記念日に際して、偉大な人民が付与した重責に常に献身をもって報いようと絶えず努力している党と政府の幹部と、繁栄に向けた力強い創造闘争に純潔無垢で限りない愛国忠義の念と堅忍不抜の努力を尽くしている貴重な自負を抱いて国慶節を誇り高く、堂々と祝っている全ての人民と軍将兵に温かいあいさつを送り、次のように述べた。
われわれは前進し続けている
この地のどこでも変わることなく、一層燦然(さんぜん)とはためくわれわれの国旗を誇り高く眺めるときもそうであり、毎年国慶節を迎えるときも自ずと感じることであるが、世界にわが共和国のように偉大かつ立派で栄えある国はまたとない。
あくどい植民地支配基盤から脱して真の人民の国を建設するときはもちろん、力の上で比べようもなく優勢な帝国主義連合武力の侵略を撃退するときも、朝鮮では世が知らない奇跡が生み出され、廃虚の上で社会主義国家へと飛躍していたチョンリマ(千里馬)朝鮮、チュチェ朝鮮の歴史的道程もいつも奇跡に満ちていた。
さらに自負するようになるのは、わが国家のこのような誉れ高い行跡がただ前の世代が歩んできた過去の歴史にのみ限られているのではないということである。
今日の現実もその奇跡の延長である。
われわれは確かに前進し続けている。
丸一世代が交代した期間、わが党と人民が幾多の厳しい挑戦と試練を乗り越えながらもいささかの動揺や脱線もなく社会主義偉業を擁護・固守し、発展させたのは、金日成主義偉業に対する最も忠実で完璧(かんぺき)な継承であり、偉大なチュチェ思想とその実体である朝鮮式社会主義の真理性と生命力、生活力の永久不滅性を実践をもって立証した大きな政治的勝利、歴史的奇跡となる。
これによってわれわれは、帝国主義反動勢力がいくら策動し、革命隊伍内で世代が交代しても、人民自らが主人となり、主人としての責任と役割に忠実な社会主義は絶対に挫折したり、動揺したりせず、永遠に上昇発展するというチュチェの真理、百戦百勝の哲理を全世界にはっきり示した。
地方振興は重要な戦略的決断
今年もわが党と政府は、社会主義偉業を画期的に発展させるための前進途上で分水嶺となる壮大かつ幅広い大業を策定し、展開した。
周知のように、第8回党大会が決定し、手配した5カ年計画の4年目の闘争課題を実践している状況の下で、われわれが自ら自分の闘争領域に地方振興という中長期的な課題をさらに付け加えて引き受けたのは、われわれの力に対する確信と自信の表われであり、時代と歴史に対し担った責任と義務を全うしようとするわが党中央の革命的観点と姿勢であると同時に徹底した人民への奉仕精神の発現である。
われわれは、革命偉業の前進途上でこのような挑戦的な峠、歴史的段階を勝算をもって果敢に乗り越える確固たる自信に満ちている。
われわれが最近下したこのような革命的決定は、全国人民の福祉増進により社会主義の優越性を実際的に発揚させて、われわれの体制の基礎を一層打ち固め、全面的国家発展を促すための重要な戦略的決断である。
未だに国の経済状況は順調でなく、余力を引き出すのも難しい状況の下で、今後10年内に全国の市・郡に多角的かつ自立的に発展することのできる基本的な物質的・技術的土台を築くというのは、かつてなら想像すらできないことであったでしょう。
しかし、党と政府は人民の大きな期待と信頼に応えるために、わが軍の無条件的かつ絶対的な忠実性と強い戦闘力を信じて科学的な戦略と現実的な実践計画を立てたし、20の市・郡では主要地方工業工場の実体が予想した通りに鮮明になりつつある。
党と政府はこれに満足することなく、地方の後進性を最大限により早く払拭するために追加的な構想を発起し、徹底した実践に移すための準備を整えている。
私は、すでに地方発展政策を重要な政治的問題と見なし、党と政府の最優先的な革命課題と見なすことについて強調した。
70余年、ほぼ80年に及ぶ期間に成し遂げられなかった事業であるため、今なお地方発展の構想に対する懐疑的な態度と立場を持っている人々も確かにいるだろう。
しかし、私は党と政府を代表して、この席を借りて、今一度確言する。
われわれの地方発展政策がその実行の保証があるのか?
可能なのか?
もちろん可能である。
遠くない10年後、われわれは今日のこの問いに現実的変革をもって答えるであろう。
全般的な成長推移を堅持
金正恩総書記は、依然として難関と困難が度重なる中で国家経済の全般的な成長推移を堅持し、基幹工業部門をはじめとする人民経済の各部門が月別、四半期別の生産計画を狂いなく遂行しながら今年に達成すべき整備・補強目標を着実に推進しているのもわれわれが収めている成果であると述べた。
今年、われわれは軽工業と都市経営をはじめ人民生活の安定に直結した部門でより改善され、変化した結果を得ることのできる条件を整えており、農業部門で作柄も今までは全般的に良好であり、この程度ならよい結実を期待できるようになった。
自然災害危機を克服するための国家の機能と能力を補完するための活動でも一連の進展があったと言える。
去る7月末に鴨緑江下流の平安北道地域と慈江道、両江道の一部の地域でひどい水害が発生して国家的な事業が支障を受け、膨大な力を投下しなければならなかったが、この過程で党と政府が自然災害対応における盲点と欠点を新たに緻密に透視し、今後の展望的かつ不可逆的な防止対策を講じるようになったのは重要な進展であると言える。
このような中でもわれわれは、国の確実な安全環境を確保し、社会主義建設に有利な条件を整えるための国防力の急進的な発展を力強く促して大きな画期的結果を獲得した。
われわれは今年に入って、特にわずか数カ月の間に国防研究と生産において重要な成果を獲得することによって驚異的な軍事力を拡充した。
これら全ての国家事業の現況を総合的に評価すれば、われわれは党中央委員会が今年の事業を計画し、作戦し、追加的に示した重要政策的課題が基本的に勝勢に乗って正しく、満足に進捗していると分析することができる。
金正恩総書記は、これから残っている数カ月間に、時間を最大限に効果的に利用して、今年の闘争成果を一層豊富にし、増幅させるための緊張した活動を展開すべきであると述べ、次のように続けた。
ここで最も重要なのは、全ての党員と全国の勤労者、人民軍将兵の限りない愛国心と忠誠心をさらに昇華・拡大させて成功の結実へと導くことである。
これがまさに、わが党と政府の指導的幹部に提起される重要かつ必須の革命任務である。
全面的国家興隆の新たな進展を遂げ、人民の物質的・文化的生活をより向上させるための今年の経済活動を責任を持って締めくくるべきである。
これまで12の重要目標を担当した人民経済のほとんど全ての部門が課された計画を狂いなく遂行しているが、現在の闘争雰囲気と勢いは非常に良好である。
このような推移を持続的に維持するためには、人民経済の全ての部門、全ての単位で勤労者の生産的熱意と創意を最大限に高め、技術・技能水準を向上させるための巧みな作戦と革新的な方法を積極的に活用する必要がある。
そして、生産部門全般で現存設備に対する正常な整備・補修によって設備の事故を未然に防止し、稼働率を最大限に高め、生産工程や設備の絶え間ない更新が生産物の量的・質的水準を保証するようにしなければならない。
金正恩総書記は、人民経済の主要部門の安定的な生産活動を円滑に保障するための課題に言及した。
金正恩総書記は、内閣と国家経済指導機関は基幹工業部門で今年まで完了することになっている整備・補強計画を所定の期日内に無条件に終えて、国家的な生産力を一層強化するようすでに立てた国家的な措置の実行いかんを全般的に確かめ、不足する問題と要素をもっと見つけ出して画期的な対策を早急に講じなければならないと述べた。
経済はもちろん、国家と社会生活の発展が主に建設物の実体によって表われるだけに、建設部門では質を徹底的に保障することに主眼を置いて今年の計画を手抜かりなく完遂しなければならない。
和盛地区第3段階1万世帯分の住宅と農村住宅をはじめ人民の実際の生活に直結している建設物の質を徹底的に保証しなければならず、これとともに建築設計水準を世界的な高さに引き上げ、建設装備と器具・工具を標準化、近代化する活動でも著しい変化を起こすべきである。
三池淵市に新しく建設した旅館をホテルに作り変え、観光対象をもっと開発して三池淵市を世界的な山岳観光地にし、元山葛麻海岸観光地区を来年から運営できるように完璧(かんぺき)に整えるための重要建設も着実に推進しなければならない。
金正恩総書記は、国家経済に対する指導と管理を時代の発展と現実的要求に即して行うための経済的手段と方法を画期的に更新して、経済全般に対する掌握力と指揮力を積極的に高めうる確固たる保証をもたらすことに力を入れなければならないとし、国家的に生産物の円滑で安定した流通を重視し、企業体の相対的独自性に基づいた生産経営活動の有利な条件と環境を整えることに優先性を付与し、勤労者の実質所得を持続的に高めるための効果的な対策を講じることについて述べた。
金正恩総書記は、穀物生産計画を遂行するのは単に農業部門に限られた問題ではなく、社会主義の勝利の前進を保証するための政治的活動になると述べ、今年の農業の締めくくりと来年度の営農準備を着実に行うための明確な実践方途を示した。
金正恩総書記は、現在までの水害復旧活動状況を分析・評価し、次のように強調した。
期日が緊迫し復旧対象と工事量が膨大であるといって、建設物の質を絶対に落としてはならない。
復旧陣容が十分に投入され、軍人建設者と突撃隊員の熱意も高いので、工事を所定の期日内に終えるかどうかは建設資材と設備、運輸機材をいかに保障するかにかかっている。
内閣と国家計画委員会、鉄道省をはじめ省、中央機関は、鋼材とセメント、燃料油、原木、ガラスをはじめ建設資材と設備を計画通りに所定の日に狂いなく保障し、輸送のネックを解消するための画期的な対策を立てて工事に支障がないようにすべきである。
われわれは、被害復旧を所定の期限内に質的に終えて水害地域人民の正常的かつ安定的な生活を保障し、被害を受けた人民経済部門もその軌道に乗せて自然との闘争も勝利のうちに終えなければならない。
「地方発展20×10政策」
金正恩総書記は、こんにち、わが党と政府が特別に重視し、強力に推し進めなければならない先決課題は、新時代の地方発展政策を無条件的かつ完璧に実行することであると述べ、次のように続けた。
前にも言ったことだが、革命と建設の万事を人民の権益を徹底的に擁護・保障することに志向させ、条件と環境にこだわることなく人民の福利のための政策を絶えず拡大していくわが党と国家活動の根本原則からしても、地方の世紀的な変革が社会主義の全面的発展、国家の全面的興隆のために最も重大な課題、必須不可欠の要求として急浮上した現時点においてもこれより切実な革命任務はない。
首都に新しく建設された幾つかの市街をもって、また首都市民の物質的・文化的生活水準をもって朝鮮式社会主義の体制的特性と優越性について評価しようとしてはならず、類例のない厳しい難局が折り重なった中でこの程度なら大きな成果であると自負してはなおさらいけない。
そのような見解と観点は革命の発展に有害である。
高層、超高層建物を建てるにはそれだけ基礎が強固でなければならない建築工学的・構造力学的原理と同様、いかなる環境の中でも社会主義制度が堅固であるためには、その優越性を確信する民心的な基礎が強固であり、全人民が実生活を通じてそれに積極的に共感しなければならず、社会主義とあくまで運命を共にし、代を継いで守っていこうとする全人民的な一念に基盤を置かなければならない。
金正恩総書記は、わが共和国の全領土を成しており、わが国家体制を支える地域的拠点、末端単位である市・郡・農村を実際的に、物質的に、計画的に発展させるという地方発展政策の重要性について強調し、こう続けた。
このように、地方の発展が単なる経済実務的な問題ではない社会主義に対する信念問題、朝鮮革命の前途に直結した極めて重要で緊要な問題として浮上するため、私は今年の初めに総会活動討議が終わってからすぐ政治局拡大会議を招集して「地方発展20×10政策」を示し、その強力な実行にこの上なく重大な政治的意義を付与した。
そして、先日には地方工業工場の建設と共に各市・郡に保健医療施設と科学技術普及拠点、穀物管理施設の建設を並行させて、地方中興の歴史的偉業を加速させるという新しい方向を打ち出した。
今年は新時代の地方発展政策貫徹の荘厳な砲声を響かせた年であるだけに、これまでの成果を引き続き拡大しながら計画した対象課題を必ず遂行して、わが党の宿願を実現するための10年革命の本格的な施行段階を確実に開くべきである。
「地方発展20×10政策」の実現において優先的な課題として提起される地方工業工場の建設に拍車をかけて、年末には必ず20の市・郡で同時多発的に完工の実体を出さなければならない。
地方建設に動員された各級軍部隊の将兵は、党の尊厳、人民軍の名誉をかけて地方工業工場の建築工事をいささかの遜色もなく最上の質的水準で完成するために総力を傾けなければならない。
現在まで20の市・郡地方工業工場の建築工事が90%界線に入ったが、設備の製作と輸入を受け持っている各単位も分担された課題を円滑に遂行し、適時に保障するための活動を力強く推し進めなければならない。
中央の軽工業部門の工場と当該の大学、道・市・郡では、近代的に建設される地方工業工場を管理・運営できる技術者・技能工養成計画を所定の期日内に徹底的に実行して、わが党の地方発展政策の貫徹に積極的に寄与しなければならない。
省、中央機関と当該の道・市・郡は、地方工業工場が完工する次第に生産の正常化に必要な原材料を準備し、保障すべきである。
「地方発展20×10政策」が現実となり、地方人民の生活改善に実質的に寄与させる上で各市・郡が自らの予備を造成するのが大変重要な問題として提起される。
それでわれわれは、新浦市浅海養殖事業所を浅海養殖業のモデル拠点として建設し、その運営を活性化してこの問題解決の突破口を開くよう新たな措置を講じた。
金正恩総書記は、「地方発展20×10政策」に新しく追加された3つの重要建設が持つ重要性と意義について強調し、すでに追加対象として予定した科学技術普及中心は総合的な文化生活拠点に拡張して建設しようとするとし、市・郡に近代的な情報技術手段を備えた科学技術普及拠点だけではない、住民が映画も鑑賞し、スポーツ・文化生活も行い、衛生環境条件が整った商業網とその他の各種の便益施設まで含まれた多機能化された複合型文化中心を利用できるように建設することについて言及した。
総合的な文化生活中心は、地方建設歴史で概念さえなかった新しい対象であるだけに、私は地域の条件と人口に応じてその規模と特性を考慮して、形成案をはじめとする建築設計を立派に行い、それに合わせて建設予算案を明確に作成するようにさせるつもりである。
われわれがこのように毎年、20の市・郡を立派に一新させていくなら、長きにわたって残存していた都市と農村の格差が著しく減り、地方人民の生活が都市の住民に劣らず裕福かつ文化的になることができる。
金正恩総書記は、現情勢の要求に応じて国家防衛力を一層打ち固めるための活動を引き続き強く推し進めることについて強調した。
朝鮮民主主義人民共和国の周辺軍事的安全環境は、米国が主導する軍事ブロックシステムの無分別な拡張策動と、それが核に基づいた軍事ブロックという性格に進化するにつれて重大な脅威としてわれわれに迫ってきた。
このような現実的脅威は将来必ずより多様な脅威を招くであろうし、したがってこのような形勢発展はわれわれをして軍事的強勢を維持し、さらに発展させるためにより重大な措置を取り、絶え間ない努力を傾けることを求めている。
明白な結論は、朝鮮民主主義人民共和国の核能力とそれを国家の安全権の保障に任意の時刻に正しく使用できる態勢がより徹底的に完備されなければならないということである。
われわれは現在、核兵器の数を幾何級数的に増やすという核戦力建設政策をしっかり貫徹しており、共和国の核戦闘武力は鉄桶のような指揮統制システム内で運用されている。
わが国家は責任ある核保有国である。
常時重大な核脅威を受けているわれわれが自分を守るために保有した核兵器は誰にも脅威にならない。
朝鮮民主主義人民共和国の核戦力を脅威的なものと言い立てる勢力は、朝鮮民主主義人民共和国を核で攻撃しようとする敵意を抱いているということを自認することになるであろう。
米国とその追随勢力から加わるさまざまな脅威、われわれが直面している安全環境の下で強力な軍事力を保有することは、わが党と政府が片時もおろそかにしてはならず、またたった一歩も譲歩してはならない義務であり、生存権利である。
強い力、これが真の平和であり、わが国家発展の絶対的な保証である。
わが軍の戦争遂行能力を絶えず強化・発展させて地域安全環境に能動的に対処し、強い力で国家主権と安全利益を守ることは、党と政府が押し立てる最も重大な国事であり、革命の第1の大課題である。
朝鮮民主主義人民共和国は、核を保有した敵国が強要するいかなる威嚇的行動にも徹底的に対応できる核能力を絶えず強化していくだろうし、核戦力を含む国家の全ての武装力に完全な戦闘準備態勢を整えさせるための対策と努力を倍加していくだろう。
再度確言しておくが、われわれの志向と絶え間ない努力によって共和国の軍事力は加速的に、持続的に進化するであろうし、われわれはそれが到達すべき限界点を定めておかないであろう。
※以下省略