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「AUKUS」は国際的な核拡散防止体制を崩し軍備競争を招いている 朝鮮の国際問題評論家が指摘

朝鮮の核無人水中攻撃艇「ヘイルー1」

 朝鮮の国際問題評論家リ・ジョンス氏は7日、「『AUKUS(オーカス)』は国際的な核拡散防止体制を崩し、軍備競争を招いている」と題する文を発表した。

 以下に朝鮮中央通信が同日配信した、リ・ジョンス氏の文を全文を紹介する。

最近、米国がオーストラリアが保有している駆逐艦と今後保有することになる「バージニア」級攻撃型原子力潜水艦に装着する8億9500万ドル分に達する220機の「トマホーク」巡航ミサイルの販売を決定し、英国は今後2年間、追加支出することになる50億ポンドの国防費のうち、30億ポンドを「AUKUS」に割り当てるということを公開した。

 これに先立って3月13日、米大統領と英国、オーストラリアの両首相は、米太平洋艦隊の母港である米カリフォルニア州サンディエゴ海軍基地で、2055年までオーストラリアが米国と英国の協力の下で2450億ドルを投資して8隻で構成される原子力潜水艦隊を創設するという内容の共同声明を発表した。

 「新冷戦」の所産としての「AUKUS」の全貌が、いっそう浮き彫りになっている。

 国際的な核拡散防止体制の破壊者

 米大統領と英国、オーストラリアの両首相が発表した「AUKUS(オーカス)」の原子力潜水艦協力計画によると、米英の原子力潜水艦がオーストラリアに各々2023年と2026年から定期入港を始め、2027年からは循環配備される。また米国は2030年代初めから「バージニア」級攻撃型原子力潜水艦3隻を建造してオーストラリアに販売し、必要に応じて2隻を追加販売することになり、特に英国の設計に基づいて3カ国の最先端技術を導入して共同建造した新しい「SSN―AUKUS」原子力潜水艦が英国には2030年代末に、オーストラリアには2040年代初めに公式引き渡されるという。

 核保有国で核拡散防止条約(NPT)の受託国である米国と英国が兵器級高濃縮ウランを非核国であるオーストラリアに移転するのが明白な核拡散行為になるということは、公正な国際世論の一様な評価である。

 にもかかわらず、米国と英国、オーストラリアは自分らが取り引きする潜水艦が決して核弾頭ミサイルを装着した潜水艦でないため、国際的な核拡散防止体制に危害を与えないとあくまでも言い張っている。

 これには、世界の唯一超大国である米国は何でも意のままにできるという米国のごう慢さとその追随国の盲信が敷かれている。

 世界初の核兵器使用国、世界最大の核保有国としての米国のごう慢さと過信は、「人種、血縁的に親近」で自分らに追随する国ならば、意のままに核クラブに出入りすることができる出入許可証を発給する水準に至り、これによって国際的な核拡散防止体制には大きな穴が開いた。

 現在の状況のように進むなら、米国が今後、オーストラリアに核ミサイルまで搭載した原子力潜水艦を引き渡したり、オーストラリアが原子力潜水艦に使われる高濃縮ウランを誤用する「大事」がいつにでも起こりかねないということを難なく予測できる。

 米大統領が今回の計画を発表しながら、「始まりに過ぎない」と言ったのは明白に、英国とオーストラリア以外の他の同盟国を念頭に置いたもので「AUKUS」の拡大を意味している。

 「AUKUS」が、オーストラリアの「大儲け」を非常に羨んでいる日本やカナダをはじめ、米国の「同志国」で拡大される可能性は比較的大きいし、そうなる場合、国際的な核拡散防止体制はうわべだけ残るようになりうる。

 現実は、米国が口癖のように唱える国際的な核拡散防止体制というものが、米国とその同盟勢力の独占的な核武装化を補強するための道具になっていることを示している。

 新しい軍備競争の火種

 旧ソ連の解体とともに到来した冷戦の終息は、米国に新しい悩みの種をもたらした。

 中国とロシア、南アフリカ、ブラジルをはじめとする新興大国が急浮上して多極化がこれ以上、無視できない世界的推移に固着されている現実の前で、米国は覇権的地位を維持するための活路を軍備を増強し、新しい冷戦を呼びつけることから求めている。

 オーストラリアを原子力潜水艦武装させる今回の取り引きには、総額2450億ドルという巨額の資金がかかるとされ、これは必ずしもアジア太平洋地域はもちろん、世界的範囲に軍備競争をいっそう高調させるようになるであろう。

 アジア太平洋地域には、遠い大洋の真ん中にあるオーストラリアの領域を狙う国がない。

 にもかかわらず、不要にも原子力潜水艦購入のために天文学的金額の資金を蕩尽することについてオーストラリアの納税者にどう説明するかはオーストラリア首相がなすことであるが、情勢激化と不安定を造成し、軍備競争を触発させている理由についてアジア太平洋地域諸国に納得の行く解答を与えるのは「AUKUS」加盟国の首脳みんなの回避できない責任である。

 現実は、20世紀にも、現世紀にも地域的または世界的規模での軍備競争の原因がいつも、米国とその同盟国の軍備増強にあることを証明している。

 米国は、3月13日からわれわれに対する全面戦争を想定した「フリーダム・シールド」合同軍事演習を断行したのに続いて、3月20日から4月3日まで原子力空母ニミッツ打撃群を送り込んで5年間も中止していた史上最大の「双龍」連合上陸訓練を繰り広げてわれわれに対する軍事的圧迫を極大化しながら、朝鮮半島情勢を爆発前夜の核戦争臨界点に追い込んでいる。

 看過できないのは、これとタイミングを合わせて太平洋向こうで行われた「AUKUS」頭目らの謀議で、朝鮮民主主義人民共和国を狙った声が響き出たことである。

 英国首相は、「ロシアの不法的なウクライナ侵攻と中国の増大する強権、イランと北朝鮮の不安定造成行為は危険と無秩序、分裂の世界を作る脅威となる」と言って「AUKUS」の「必要性」を正当化したし、米国務省の高官は「AUKUS」が地域の平和と安定に寄与すると言って「中国とロシア、北朝鮮とそれ以外の地域で提起される挑戦が増加した」と力説した。

 これは、「AUKUS」の潜水艦が南シナ海であれ、朝鮮半島水域であれ、米国の覇権的地位を維持するのに必要な任意の場所に出没するということを示唆している。

 「平壌占領」を狙った「双龍」連合上陸訓練に英国が40人余りの海兵隊員を派遣し、オーストラリアがオブザーバーとして参加した事実は、「AUKUS」が朝鮮半島で米国の新しい侵略戦争企図に盗用されるということを示している。

 米国とその追随勢力によって、日ごとに悪化しているアジア太平洋地域の安保環境は、朝鮮民主主義人民共和国の核戦争抑止力強化こそ、地域の平和と安定、力のバランスを保つための根本保証であることを実証している。(了)