朝鮮の長距離巡行ミサイルの試射と鉄道機動ミサイル連隊の検閲射撃訓練に関連して、一部の西側メディアは「朝鮮半島を巡る南北両国のミサイル軍備拡張」(AP通信9.17)を云々している。西側メディアは朝鮮による鉄道機動ミサイル連隊の検閲射撃訓練と韓国による”SLBM”発射実験が重なったことをとらえて、「軍備拡張」を云々しているようだ。
しかし、これは戦火を交えた朝鮮と米国による朝鮮半島の対決の構図を、意図的に南北の対決に置き換えようとする欺瞞的言説に過ぎない。
韓国は米国の軍事保護領
韓国が米国の軍事的保護下にあることはアフガニスタンからの米軍撤退時に米国務省が名言しており、否定しようがない。さらに韓国軍の作戦指揮権が米軍にあり、韓国大統領は自国軍に対する統帥権を持たない。韓国はこの事実をうやむやにするために、作戦指揮権の返還を声高に叫ぶが、駐韓米軍が撤退しない限りあり得ることではない。長くなるので作戦指揮権返還が非現実的あるということの詳細は避ける。一点だけ指摘すれば、返還されれば駐韓米軍が韓国軍指揮官の指揮下で動くという想定だが、超大国である米国が自国軍の指揮を他国に委ねることはあり得ず、あまりにも荒唐無稽だ。
作戦指揮権の重大な意味を看過してはならない。
作戦指揮権を握っているということは、軍の作戦計画、計画に伴う心理戦を含む戦略戦術、軍兵の訓練、使用する兵器の選定等々すべてを統制するのだ。
例えば、韓国軍のSIBM試射を見た文在寅大統領は“自主国防”を云々したが、中身のない虚言で、所詮米国の手のひらの上でなされた人形劇のようなものだ。
韓国の一部の軍事専門家は、SIBMはミサイルに核弾頭を積んでこそ戦略兵器になるもので、通常弾頭を積んだ潜水艦発射ミサイルに意味はないと酷評している。
米国の手のひらで
それはともかく、SIBM実験に成功したという「島山安昌浩」と名付けられた潜水艦。韓国の潜水艦はすべてドイツの技術と支援で建造されており、ESM、装填装置、電子工学マスト、戦闘管理システム等は、スペイン、イギリス、フランスなどNATO諸国が提供した。韓国はこれらのなくてはならない核心装備を独自に開発する力も技術も持たない。
このように実態は、「島山安昌浩」によるSIBM実験は、欧米の支援下ではじめて可能になったもので、朝鮮との対抗上、米国の手のひらで行われたSIBM実験に過ぎないということを物語る。さてそのSIBM実験だが、海面から打ち出されたミサイルの写真らしきものは公表されたが、射程距離など性能は一切明らかにされていない。実戦用というよりも朝鮮との対抗上、韓国もSIBMを開発したと誇示するためのものである色彩が強い。
釈迦の手のひらで踊る孫悟空。
SIBM実験後、文在寅大統領が「われわれのミサイル戦力は北韓の『挑発』を抑止するのに十分だ」と述べた。
自国軍に対する統帥権も行使できず、米国に国防を全面的に依存する属国大統領の卑屈で屈折した虚勢に見える。
西側マスコミのプロパガンダにもかかわらず、朝鮮半島の構図は、朝鮮と、米国の手のひらで踊る属国との対立ではなく、朝鮮と属国を指揮する米国の対決であるという事実に何の変りもない。(了)