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MK通信(94) 「その日は米国が韓国を捨てる日だ」

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 朝鮮が米国との間で平和条約のようなものを結ぶ日には、「全てが終わる。その日は米国が韓国を捨てる日だ」

 韓国の親米反共右翼のオピニオンリーダーアフガニスタンでの米国の敗北を受けて示した危機感だ。(WoW!Korea 8月24日)

 「米国が韓国を捨てる」とは尋常ではない。

 韓国の親米反共保守勢力も親米保守中道勢力も、内心戦々恐々としていても表立って「米国が韓国を捨てる」という表現はめったに使わない。なぜならば、韓国という国が米国の傀儡に過ぎないことを自ら認めることになるからだ。

 親日に根っこがあり、朝鮮解放後半島の南半分を軍事占領した米軍によって拾われ政権と社会の中枢に陣取ってきた反共右翼は自らの生存に極めて敏感で、自らの存在が米国の庇護によって保障されていることを誰よりもよく知っている。

 親米反共右翼のオピニオンリーダーが「米国が韓国を捨てる日」という表現を露骨的に用いて深刻な危機感を示したのは偶然ではない。

駐韓米軍撤退へのプロセス

 アフガニスタンでの米敗北を契機にした危機感が極めて現実的なものであることは次のような指摘を見れば明らかだ。

 「不可侵条約は事実上の平和条約(戦争終了に関する条約)の概念を包括する。従って米朝不可侵条約の締結は、在韓米軍の撤収につながるほかない。在韓米軍の撤収は、言い換えれば韓米同盟の瓦解を意味する。米国は北朝鮮の核から米国だけの安全を採り、韓国を事実上、祭物として捧げて、韓半島から抜け出す格好となるのだ」

 朝米関係が改善して、休戦協定が平和協定にとって代われば、“国連軍”の解体は必至で、それが駐韓米軍の撤退につながることは必然だ。

 彼らが指摘した通りだが、駐韓米軍撤退に至るプロセスは朝米間ですでに始まっている。

 3年前の6月シンガポールで行われた朝米首脳会談で合意した朝米共同声明はその出発点だ。▲新しい朝米関係の樹立▲恒久的な平和体制の確立▲朝鮮半島の非核化―に合意したのは周知の事実で、この合意は朝鮮半島問題を平和的に解決する最も現実的なプロセスで、それ以外の道はない。強いていえばそれ以外の道は、戦争もしくはそれに準じた方法で朝鮮の体制を崩壊させることだ。しかしその方法は朝鮮が核抑止力開発に成功したことで、核戦争を覚悟しない限り不可能になった。

 朝米共同声明での合意はトランプ元大統領が特異な人物であったために結ばれたものではない。朝鮮による核抑止力の開発で、米国は核の脅威に直接さらされることになり、問題解決を迫られた結果である。朝鮮の核が、中ロとは異なり直接的脅威になるのは、朝米間で休戦という名の戦争が続いているためだ。戦争が続く限り、米国が朝鮮の核の脅威にさらされるのは避けようがない。もう米国が一方的に朝鮮を核で恫喝する時代は過ぎ去り、朝鮮戦争を終わらせること、つまり平和協定の締結が現実的課題に浮上している。

 米国は朝米首脳会談を行った2018年にタリバンとの直接交渉に入った。奇しくも朝米首脳会談と時期が一致したのは偶然なのか。確かなのはアフガンではタリバンとの戦争を続けられなくなり、朝鮮では核をめぐる力関係が根本的に変化したことだ。

米軍の敗北と傀儡の運命

 韓国の親米勢力が深刻な危機感を抱かざるを得ないのは、アフガンで米国が敗北したためだ。

 米国は、どこかの国が敗戦を終戦と言い換えているように、敗退を撤退と表現している。米国は対中戦略のためにアフガンから撤退したのではない。極端に言えば、小銃しかもたないわずか6万人前後のタリバン軍を掃討することはできず、タリバンによる勢力の拡大を阻止できず敗退したのは隠しようがない。一時はNATOなど約50か国15万人の軍隊をアフガンに配置し、莫大な資金をつぎ込んだにもかかわらず、タリバンと米国の直接交渉が始まった2018年ごろには国土の70%をタリバンが支配していたとの分析もある。

 米国が作った傀儡政権と傀儡軍は何の役にも立たなかった。米軍の指揮でタリバン掃討に向かった傀儡軍は、殺戮と略奪を繰り返す米軍同様に国民に忌み嫌われた。米軍撤退と同時に瞬時に崩壊したのを見れば、国民に根差さない傀儡政権の末路は悲惨であると同時に、アフガン国民は誰も米国式民主主義プロパガンダに騙されなかったことを示している。

 朝鮮半島南半部に対する、1945年9月の米軍占領で生き延びた親日派、米軍の庇護で政治と社会の主流に巣くってきた親日・親米勢力がアフガンの傀儡政権崩壊を目の当たりにして危機感を募らせるのは、自身が置かれた状況がアフガンの傀儡と変わりがないという、否定しがたい厳然たる事実からくる恐怖の表れであろう。その根底には世界最強のはずの米国がタリバンに敗れたように、米国が朝鮮に敗れ兵を引くのではないかという恐怖がある。

 韓国軍の作戦指揮権は駐韓米軍司令官が握っている。つまり韓国軍の統帥権米大統領にあるわけで、韓国大統領にはないのだ。軍の統帥権は大統領にあるとする韓国の憲法上の規定はお飾りに過ぎない。米軍に育てられ、訓練され、米国製兵器で武装し、米軍が立てた戦略戦術、作戦計画に従って、米軍の指揮で合同軍事演習を行う韓国軍。斬首作戦に占領地統治訓練など、米軍の指揮下で北の同族を打つ指揮所訓練に熱を上げる韓国軍の本当の国籍はどこなのか。

 文在寅大統領は、韓国軍は世界6位であると胸を張る。このランキングはグローバル・ファイヤーパワーなる組織によるものだが、当然1位は米国、タリバンはランキングにも入っていない。1位の米国が順位にすら入っていないタリバン軍に敗れたのである。

 「作戦指揮権の返還」は文大統領の口癖だが、米軍が韓国軍指揮官の指揮下で動く作戦指揮権の返還など実現しようがないことは3歳の子供でも分かることで、韓国が米国の軍事保護領であることを覆うための欺瞞に過ぎない。

 大統領が自国軍を統帥できない国、南北会談を行えば米国の承認を受けなければならない国、新日勢力が親米勢力に衣替えして、大統領にもなれば軍の指揮官にもなり、国家の功労者が眠る国立墓地に埋葬される国。文在寅大統領が8.15の記念辞で韓国軍世界6位を云々したのは中身が空っぽの虚言に過ぎない。自主権を主張しようともしない大統領が繰り返す虚言は米国の支配下に置かれた操り人形の卑屈さの表れ以外の何物でもない。

 「韓米同盟」という言葉は米韓の主従関係の実態を覆う便利な言葉だ。「韓米同盟」を「安保の要」とする韓国で、朝米平和協定→米軍撤退は悪夢でしかない。

「同盟を保護するために」

 米国のジェイクサリバン国家安保補佐官はアフガンからの米軍敗退直後の17日、ホワイトハウスで記者会見を行い、欧州、韓国などで広がる、“見捨てられるのではないか?“との動揺を収拾するために、状況が異なる、韓国などでの撤退計画はない、などと強調した。

 この会見で注目されるのは、サリバン補佐官が欧州、韓国などに米軍を駐留させているのは「同盟を保護するため」とはっきりと述べたことだ。つまり欧州も、韓国も、もちろん日本も含まれるが、これらの国は「同盟」という名の米国の軍事保護領で属国に過ぎないということだ。間違っても韓国などを独立国と勘違いしないほうがいい。日本の一部“リベラル”と称される人々の中にも、韓国を“主権を行使する民主化された独立国”と見る人がいるが、韓国の反共親米勢力が危機感を露わにしているように、米国に捨てられれば崩壊する運命にある傀儡に過ぎないということを直視すべきであろう。

 ブッシュ政権国務長官を務めたコンドリーザ・ライスが、朝鮮戦争から「70年が過ぎた今でも2万8000人以上の米軍が韓国に駐留している」とし「われわれは水準の高い韓国軍隊も北朝鮮を単独で阻止することはできないということを認めている」と指摘(17日)した。ライスの指摘は、米国政府の認識であることに留意すべきだあろう。

民族と親日、親米

 韓国の金元雄光復会会長が、8.15記念式に寄せたメッセージで韓国の歴代政権を親日政権と非難したことが韓国では大きな話題になった。韓国では光復会会長と言えば、国家の元老で大きな影響力を持つ。

 金元雄光復会会長は7月にも、解放直後の1945年9月に南側は「米軍に占領された」と指摘、占領米軍が親日派を登用して政権を作ったと暗に批判した。

 歴代独裁保守政権の流れを組む野党と、朝鮮日報中央日報東亜日報など、新日の歴史がある保守マスコミは、“韓国の正当性を否認するもの”と攻撃しながら“光復会会長辞任”キャンペーンを繰り広げた。一昔前なら大騒ぎになり、光復会会長は辞任に追い込まれたであろう。

 しかし、韓国国民は親米勢力が懸命に吹く笛に踊らなかったばかりか、冷淡な視線を送った。もはや韓国では反北、反共キャンペーンが世論を主導することができなくなっており、日増しに大きくなる駐韓米軍撤退を求める声に対する拒否反応は見られない。

 このような世論の変化は、韓国の政治社会が抱えるもっとも根本的な問題である、外勢、米国と関わる問題を鋭く指摘した金元雄光復会会長のメッセージに対する暗黙の指示が広がっていることに表れている。これに比べ8.15に行った文在寅大統領の記念辞は、問題に背を向けた曖昧模糊とした“気の抜けたサイダー”のようだったと評されている。

 民族と外勢の問題に背を向け、親米に走る中道保守からも韓国民の心は離れつつある。

 この否定しがたい世論の変化は、親米保守勢力が危機感を募らせる、より根本的な理由なのかもしれない。(M.K)