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【解説】 朝鮮半島の非核化とは

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文在寅式の偽善的語法

 「北朝鮮の完全な非核化に専念する」と公言していたバイデン政権が対朝鮮政策見直しの過程で「朝鮮半島の完全な非核化」という表現を突然使いだした。韓米首脳会談とその結果である韓米共同声明にもこの表現が使われている。

 米国が突然表現を変えたのは、「北非核化」では朝鮮側が反発して対話の席に誘引するのはとても無理だという判断からだろう。

 これを進言したのはどうも文在寅大統領のようだ。「北非核化」の本音は隠し覆っておいて、シンガポール朝米共同声明で使われた「朝鮮半島の完全な非核化」という表現を持ちだし、朝鮮側の反発をやわらげ対話の席に座らせてみようという、文在寅式の偽善的語法だ。

 米韓が「朝鮮半島の非核化」という表現を使ったからと言って、朝鮮の一方的な非核化を強要して武装解除を追求する意図にはいささかの変化も見られない。

 本質を巧妙に避け副次的問題を強調しながら、真の狙いを覆い隠す偽善的な文在寅式語法は極めて幼稚な手法だが、一部の人々に幻想を与えており、朝鮮半島の非核化とは何を意味するのか正確に理解する必要がありそうだ。

朝鮮半島非核化の概念

 朝鮮半島の非核化という表現はもともと朝鮮側が使っているもので、米韓側の本意ではない。

 朝鮮側は、朝鮮が2016年7月6日に発表した「朝鮮民主主義人民共和国政府スポークスマン声明」で朝鮮半島非核化の概念を明らかにしている。

 声明は、「明確にしておくが、われわれが主張する非核化は朝鮮半島全域の非核化である。これには南の核廃棄と南朝鮮周辺の非核化が含まれている」と指摘、その内容について次の五項目を上げた。

 「第一、南朝鮮に持ち込み是認も否認もしない米国の核兵器から全て公開しなければならない。

 第二、南朝鮮で全ての核兵器とその基地を撤廃して世界の前で検証されなければならない。

 第三、米国が朝鮮半島とその周辺に随時展開する核打撃手段を二度と持ち込まないということを担保しなければならない。

 第四、どのような場合でも核で、核が動員される戦争行為でわれわれに脅威を加え恐喝したり、わが共和国に反対し核を使用することがないことを確約しなければならない。

 第五、南朝鮮から核の使用権限を握っている米軍の撤収を宣言しなければならない」

 また 朝鮮外務省は去る2018年12月20日に発表した「チョン・ヒョンの論評」で「朝鮮半島の非核化」の概念について次のように指摘している。

 「朝鮮半島というとき、わが共和国の領域とともに、米国の核兵器をはじめとする侵略武力が展開されている南朝鮮地域を包括しており、朝鮮半島の非核化というとき、北と南の領域だけでなく朝鮮半島に照準を合わせた周辺からの、すべての核脅威の要因を除去することを意味する、ということをしっかりと知るべきだ」

 2018年6月に朝米首脳会談が行われ共同声明が発表されたにもかかわらず、朝米交渉が頓挫した原因は、トランプ政権が「朝鮮半島の完全な非核化」に同意しておいて、実際には朝鮮の一方的非核化を執拗に追及して武装解除を謀ったからだ。

 バイデン政権がトランプ政権同様「朝鮮半島の完全な非核化」という表現を使ったからと言って、朝鮮の一方的非核化への意図、武装解除と体制転覆への敵意を捨てたわけではない。この狙いを覆い隠し朝鮮を何としても対話の席に座らせるための方便に過ぎない。

 この浅知恵出したのは文在寅大統領であることは間違いない。

 “米韓首脳会談”で演出された程度の低い朝鮮半島非核化をめぐる動きは、朝鮮を武装解除させる手段を失った米国の困惑ぶりをみせつけている。(了)