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MK通信(90)  現実的でも合理的でもない馬鹿げた「北朝鮮非核化」の試み

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 韓国と日本は米国の核の傘を拒否すべきだ。

 “何を馬鹿なことを言っているのか”“非現実的だ”・・・。

 韓日の大半の専門家と学者、知識人からはこれ以上の反論が聞こえてきそうだ。

 そのような反論は現時点では大きな間違いではなさそうだが、米日韓が合唱する「北朝鮮の非核化」は、それ以上に“馬鹿なこと”で“非現実的”な試みであることを知るべきだ。

NPT枠外で開発された核抑止力

 東北アジアは核の密集地帯だ。中ロは核兵器保有国、韓日は米国の軍事保護領核の傘で守られている。朝鮮半島周辺には米国の核兵器が展開されており、朝鮮戦争は休戦状態のままで極めて不安定な状況に置かれている。

 にもかかわらず、米国の核を放置したまま朝鮮を非核化すれば、この地域は一気に不安定化し戦争の危機は高まるだろう。

 米国は核兵器で一般市民を大量虐殺した世界で唯一の国だ。朝鮮の核抑止力がなくなれば、「平和協定」を拒否する米国が、朝鮮に対して核兵器を使用しないと誰が保証できるのか。“それは杞憂”だと主張する国と人はいるだろうが、いざという時には誰も止めようとしないだろう。国連安保理は米国のイラク戦争を認めなかったが、米国は有志連合を作ってイラクで数百万人を虐殺した。安保理もNPTも役にもたたなかったのが現実だ。

 現実を無視して、米国が振り上げる核の棍棒には沈黙したまま、朝鮮に非核化を求めるのは、誰であれ無責任な主張で、朝鮮にとっては受け入れられることではない。

 ソ連が崩壊して核の空白地帯にさらされたとき、朝鮮は生じた安保上の不安定を平和的方法で解消する最大の努力を傾けた。

 27年前の話だが、ソ連崩壊を契機に有頂天になった米国は朝鮮の核施設空爆を本格的に検討した。クリントン政権下のことでペリー国防長官が直接指揮したという。米国の侵略に直面した朝鮮は米国の軍事的脅威とNPTの偏向を問題視して脱退を宣言した。1993年3月のことだが、カーター訪朝で米国との対話の道が開かれ、脱退を一時保留したのは周知の事実。朝鮮は、ジュネーブ合意に続き、6者会談が破綻する2003年3月まで保留を維持しNPTに留まった。

 朝鮮が10年間NPTに留まり、米国との交渉にあたったのは、安全保障上の空白を交渉による朝鮮半島の非核化実現で解決するべく努力を最大限傾けた証拠だ。朝鮮の平和的努力を踏みにじって、「悪の枢軸」「暴政の前哨基地」、核先制攻撃も辞さないと脅迫し続け、交渉を破綻に追いやったのは米国だ。

 朝鮮がNPTから脱退して、その枠外で、米国の絶え間ない核の恫喝と体制崩壊の試みに対処して、核兵器を開発したことは当然のことだ。朝鮮の核兵器開発を罪悪視して非難する根拠は何もない。非難されるべきは交渉によって朝鮮半島の非核化を実現しようとした朝鮮を、否応なく核開発へと追い込んだ米国であろう。

朝鮮の核抑止力によって封じられた核の棍棒

 バイデン政権の対朝鮮政策の「再検討」が遅れているようだ。

 「北朝鮮の完全な非核化」を目標に定めたまではよいが、その方法を見いだせないというのが実態であるようだ。

 自らは核の棍棒を振り回しながら、対立する相手に武器を捨てろと言って、誰が武器をすてるのか。実に荒唐無稽だ。

 単純化して平たく言えば、喧嘩相手に“俺はナイフを持っても良いが、お前がナイフを持つのはルール違反だ”と言っているようなもの。この馬鹿げた要求を聞く喧嘩相手が地球上のどこにいるのか。横暴かつ卑劣なヤクザの論理で、これに韓日が追従している。

 朝鮮に「非核化」を強要する力は米国にない。

 はっきりと言うが、朝鮮は米国を恐れてキューバからミサイルを撤収するような国ではない。また、朝鮮には米国に跪いて国家の解体を招いた愚かな指導者はいない。

 ジョン・ハイテン 米統合参謀本部副議長が「米国の現在のミサイル防衛能力は、中国、ロシア、イランではなく明確に北朝鮮に焦点を合わせている」と指摘、「米国本土を脅かす実際的な脅威は北の核と大陸間弾道ミサイルだ」と述べた(2月23日)ことは偶然ではない。

 70年にわたり朝鮮に脅威を加え続けてきた核の棍棒は朝鮮の核抑止力によって封じられた。トランプは戦争が起こってもそこで(朝鮮半島)で人が死ぬとの暴言を厭わなかったが、第二次朝鮮戦争が起これば米本土も戦場になるのを避けられない。

 もはや米国の軍事的圧力は朝鮮に対して機能しない。核の棍棒を振りかざせば朝鮮の核抑止力はより高度化されるだけだ。

東北アジアの運営者は金正恩委員長」

 朝鮮は、圧力で「非核化」、武装解除を強要しようとする米国に対して、敵対政策の撤回を強く求めており、撤回なしには対話にも応じない姿勢を鮮明にしている。

 米韓ではハノイでトランプ政権が拒否した、制裁の一部緩和と朝鮮の核施設の閉鎖を取引する案をはじめ、様々な方法で朝鮮を対話の席に座らせようとしている。

 しかし、朝鮮はすでに米国よる経済制裁を「正面突破」すると宣言して、経済制裁をカード化する道を塞いでおり、経済制裁の一部緩和などをめぐって交渉することはない、との姿勢を鮮明にしている。

 そのためかブリンケン国務長官はじめ米当局者は、中国の「協力」を公言し大きく期待しているようだ。「中国外務省の発表によれば、米アラスカ州で18、19両日に行われた米中外交トップ会談で両国は、北朝鮮に関する協調の強化で合意。ブリンケン国務長官は会談後、北朝鮮の非核化に向け米中の『利害は重なっている』と述べていた」(時事通信3.22)との報道もある。

 中國が米国の要求に「協力」するかどうかは中国の選択で、問題の本質ではない。

 中國の国務院諮問委員である北京大学のス・インホム教授は、昨年11月25日、「東北アジア情勢で確実なひとつのことは最も重要な運営者がどの大国でもない金正恩朝鮮国務委員長である」と述べている。

 完成した朝鮮の国家核戦力と、それに伴う朝米の力関係の変化、国家核戦力完成を背景にした朝中の親善関係の修復と発展を織り込んだ発言のようだ。

 国家核戦力を完成させた朝鮮の力を無視して誰も朝鮮半島情勢を動かすことはできない。また朝鮮の意志を無視したまま大国間取引も成立しえなくなった。米国を直接攻撃できる核兵器を備えた朝鮮は、もはや列強による勢力間の角逐場ではない。問題の本質はここにある。

 「労働新聞」は(4.23)党8回大会で打ち出した国家経済発展5か年計画と関連して、「主体的な力、内的動力を最大限増大させわれわれの経済をどのような外部的影響にも揺れることなく運営できる正常な軌道に乗せてこそ国と民族の自主性を信頼して担保していくことができる」と強調した。

 経済計画の目標が「経済をどのような外部的影響にも揺れることなく運営できる正常な軌道」の乗せることに定めたのは、米国の経済制裁に対処した方針だ。

 米韓の敵対勢力は一言で「不可能」としているが、朝鮮がICBMを開発することは不可能、何十年も前の古い再突入技術は検証されていないと、いまだに力説している連中の言辞を信用すると、間違いなく情勢を見誤ることになる。(M.K)