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【解説】極めて不透明なバイデン政権による「北朝鮮政策再検討」の行方

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進む核抑止力の高度化

 ブリンケン国務長官は、「バイデン政権が対北朝鮮政策を全般的に再検討している」と重ねて明らかにしている。

 ▲“追加制裁”▲“外交的手段”▲“インセンティブ”等々の発言からその方向性は明らかで、圧力を強化して朝鮮を非核化交渉の席に着かせようとしている。このような方向性はトランプ政権と変わることはなく、目新しいものではない。だからと言って何らの効果的な手段も見当たらず、「北朝鮮政策再検討」の中身に苦慮しているとみられる。

タイムライン

 米下院外交委員会 東アジア太平洋小委員会のアミ・ベラ小委員長は8日、「米政権が対北政策の再検討を完了するまでの具体的なタイムラインは決まっていない」とし「初期には 米韓両国間の未解決課題を解消することに注力し、その後 日米韓3者問題を扱うことになるだろう」と強調、「このような問題を解消してこそ、強い位置で(北朝鮮と)交渉できるようになる」と述べた。(VOAとの電話インタビュー)

 ベラ小委員長の発言は、日本や韓国などの同盟国と連携してこれまでの政策を検証し新たな戦略をまとめると強調しているブリンケン国務長官発言と矛盾しない。

 「北朝鮮政策再検討」は米韓未解決問題の解決と米日韓関係の調整後に行われるというもので、いったいいつになるのやら判然としない。

混乱

 どうやら「北朝鮮政策再検討」の前に解決すべき問題があるとのことのようだ。

 もともと「北朝鮮政策再検討」は、朝鮮が核抑止力高度化を進めながら、「敵対視政策の撤回」を要求、経済制裁が機能しておらず、難題であることは明らか。トランプ政権が行き詰っていたようにバイデン政権だからと言って有効な手段を持ち合わせているわけではあるまい。手段なし、というのが本音なのではないか?

 「防衛費分担金交渉」などの米韓関係、朝鮮に対する関与の方法をめぐる米韓間の立場の微妙な違いが調整されていないことも「北朝鮮政策再検討」の障害になっている。

 「防衛費分担金交渉」問題はともかく、文在寅政権は朝鮮側が否定している“人道支援”などの機能的接近を試みており、米韓合同軍事演習についても表面上縮小するのが望ましいとの考えを示している。これに対し米国は、朝鮮が受け入れそうもない接近方法を疑問視し、文在寅政権を信頼していないように見える。

 さらには、韓国では朝鮮政策をめぐる与野党の攻防が激化している。本質は時期政権をめぐる権力抗争だが、親米保守の反共勢力が文在寅政権の交渉姿勢に激しく反発、米強硬派をも巻き込み事態を複雑にしている。

 韓日関係の修復が容易に進まないのも障害になっているようだ。

 最近文在寅政権は、バイデン政権が「同盟関係再構築」を打ち出している状況で、対日低姿勢に転じているが、日本は韓日関係の修復に動く姿勢を見せず文在寅政権の全面降伏を迫る構えを示している。

不透明

 韓日間の軋轢が「性奴隷問題」「強制労働」など過去の問題に起因しており、一歩間違えれば韓国で反日世論に火をつけかねず容易ではない。

 米国で45万人以上の死者出している新型コロナウィルスなどバイデン政権が取り組まなければならない国内問題はいずれも難題で、米韓、韓日、米日韓の「同盟関係を再構築」して「北朝鮮政策を再検討」する余裕があるのか大きな疑問だ。

 先にも述べたが、敵対政策撤回を求める朝鮮に対する有効な手段がないことに加え、文在寅政権の任期(2022年5月)がせまっており、次期政権をめぐる混乱が予想される。一方日本の現政権も弱体化しつつあり、「同盟再構築」による「北朝鮮政策再検討」の行方は極めて不透明で、「再検討」の名のもと代わり映えのしない単純な圧力路線を踏襲する可能性が大きいと推察される。。(了)