朝鮮のインターネット情報サイト「メアリ」が「『두루춘풍』의 고민」(9月17日)という文を載せた。直訳すれば「『あまねく春風』の悩み」になるが、何のことかわからない。この文の趣旨が周辺大国にあまねく媚を売る韓国の自主性のない外交姿勢を批判したものであることから、「八方美人の悩み」と意訳したほうが適切化も知れない。
短文ながら、朝鮮語の本文は、朝鮮語ならではの味があり、分析も鋭い。翻訳が拙く、朝鮮語のわかる人は「メアリ」のHPで原文を読むことをお勧めする。
「『두루춘풍』의 고민」
冷戦の遺物として、すでに解体されてしかるべきだった北大西洋地域の軍事同盟であるNATOにそっくりの "双子"が、今度はアジア地域に出現しようとしている。米国という強圧的な助産婦によって構築されている「インド太平洋版NATO」の登場は、多くの国や地域の危惧を呼び起こしている。
その中でも最も煩悩に包まれているのは、「韓国」と言わなければならない。アメリカの強圧に従うには、他の大国の憎しみが恐ろしく、やめようとすればアメリカににらみつけられ怖い。そうするうちに、結局は、北中露対「韓」米日の対決構図が形成されるのではないかという危機意識が日増しに澎湃として起こり、立っても座ってもいられなくなっている。
他の誰よりも「韓国」が一番大きな悩みの荷物を背負って天使万麗しなければならない理由はなんであろう。
大国の間にサンドウィッチのように挟まれ、特に、新しい「NATO」が標的としている大国と直接向き合っている地政学的リスクのためだけではない。
それよりも、自分のしっかりした見解と主張、哲学がないからではなかろうかと思われる。
平凡な個人も世の中を生きていくには、自分なりの主張と他人の強圧を除ける胆力がなければならない。それがなければ、厳しい世界で、他人に利用され操り人形になってしまう。まして国と民族の場合、どうなるかは語るまでもない。であるなら、アフリカでも南米でもない北東アジアで、強国の隙間に挟まれた「韓国」として生き残るために何よりも必要なのが、胆力と度胸、芯が一本通った姿勢といえるだろう。
しかし、見ての通り現実は違う。
大国を相手にするに当たり、「韓国」の外交戦略は、「あまねく春風」、八方美人ということができる。誰にも反抗せず、誰とでも仲良くしようとする、すなわち、周辺の大国すべてに可愛く見せたいのである。
だが、外交では、特に激しい利害衝突が日常茶飯事になっている大国の間で、このような迎合主義が絶対に通じることはない。民族受難史の過去がよく見せてくれているし、周辺大国の覇権競争で「新冷戦」が到来している現実が、また克明に雄弁している。
このような教訓と現実をよく知りながら芯を一本通すことを、脇に火の玉を挟むことのように難しく考えているので、いつも大国のムチとアメに苦しみ、悩みと心配の中で生きていかなければならないのだ。このようなソウルの姿を見ていると、嫌悪と軽蔑の感情が思わず交差するのを避けられない。
誰が言ったのか、自己主張のない者は臆病者で、それを持とうとしない者はチンピラで、持つことができない者は馬鹿だ。
では、 「韓国」は、この中でどこに属するのか。(了)