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MK通信(76)米国の対朝鮮敵対視政策は機能しておらず失敗を免れない

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 破綻した朝米非核化交渉 
 トランプ政権は大統領選挙を控え、朝鮮の「弾道ミサイル開発」を云々しながら圧力を加える一方、「レイジ(怒り)」なる本を出版して、事実いかんはともかく新書の内容を一方的に明かし外交儀礼を踏みにじるばかりか、「80発の核兵器の使用」など荒唐無稽な説を流布して、「国家の品格」を疑わせるような言動を繰り返している。かと思えば、ポンペオ国務長官は実現の可能性がまったくない、朝米の「10月サプライズ」説を流している。
 朝鮮との外交成果を誇示したいトランプ政権が、選挙を前に手段も方法も選ばずあがいているようにみえる。コロナ感染症に、経済危機、黒人差別等々で直面している深刻な危機の裏返しのようだ。深刻な危機の中で、何としてでも大統領選挙前に、朝鮮が戦略兵器の実験に打って出るのを阻止して、致命的な打撃を避けたいのであろう。
 大統領選挙用の茶番に注目しても意味はなく、また誰が大統領に当選したとしても朝鮮側の対米戦略に変わりはないだろう。一部で朝鮮はトランプ再選を望むと指摘する向きもあるが、朝米関係の本質をわきまえない素人の分析で、戯言にすぎない。
 朝米間の非核化対話が破綻して、昨年来行われていないのは周知の事実だ。
 金與正党第1副部長が去る7月10日、米韓が突如持ち出した第3回朝米首脳会談開催問題と関連して、首脳会談開催はあり得ないと強調、次のように指摘したことがある。
 「私は『非核化措置対制裁解除」という過去の朝米協商の基本主題が、これからは『敵対視撤回対朝米協商再開』の枠組みに変わらなければならないと考える」
 朝米非核化交渉は破綻し、米国の朝鮮敵対視政策の撤回いかんが焦点であるとの朝鮮側の視点が明確にされた。
 しかし、朝鮮が敵対視政策の撤回を求めたからと言って超大国米国がやすやすと政策を変えるわけではない。
 米国が第二次大戦直後に朝鮮半島の南半部に兵を進め軍事占領し、朝鮮戦争を挑発して北進を試みたのは、中国、ロシアに通じる大陸への橋頭堡を築くためである。また休戦協定後も北進の機会を得るべく、執拗に朝鮮に対する敵対視政策を一貫させてきたのもこのためで、米国が世界制覇のための地政学的要求を放棄するはずがない。
 問題は敵対視政策の撤回いかんではない。圧力政策が力を失い機能しなくなっており、破綻の危機に直面するにいたっていることだ。
 その決定的契機は、朝鮮による「国家核戦力の完成」であることは二言を待たない。
軍事的圧力の無力化
 米本土まで射程に収めるICBMと水爆、さらにはSLBMの開発は、米国の数十年間に渡る一方的な核兵器による威嚇と北進戦争挑発企図を根本から破綻させたことを、誰も否定することはできない。
 「1950年代の戦争のような痛みが再び繰り返されないよう、戦争そのものを防止し、抑制することができる絶対的な力を持たなければならなかっために、他の人であれば百回以上倒れ、床に座り込んで挫折する悪路逆境を突破し、あらゆる圧力と挑戦を強靭に乗り越え、われわれは核保有国への自己発展の道を歩んできた今、初めて帝国主義反動と敵対勢力のいかなる形態の高強度圧迫と軍事的威嚇と恐喝にもびくともせずに、われわれ自身をしっかり守れるように変った。
 戦争は見下している相手とだけできる武力衝突だ。
 もう誰もわれわれを見下すことはできない。
 見下せないようにするであろうし、見下せばその対価をしっかり払わせる。
 われわれの信頼できる効果的な自衛的核抑止力によって、この地にもう戦争という言葉はないだろうし、わが国家の安全と未来は永遠に、堅固に担保される」(金正恩委員長が老兵大会で行った演説7.27)
米国最大の圧力手段であった核兵器による軍事的圧力は破綻し、朝鮮に対しこれ以上機能しえない。
機能しない経済制裁
 米国が軍事的圧力とともに多用してきた圧力手段は経済制裁だ。
 米国は、朝鮮に対する制裁は「史上最大」だと公言している。2017年11月の「火星15」の発射実験を受けて加えた制裁に、中国を巻き込んだことが「史上最大」を云々する根拠になっているようだが、実に浅はかだ。
 分かりやすい例を上げれば、中国を制裁に巻き込むことによって、朝鮮に耐えがたい圧力を加えうる具体的材料はコークスと原油だ。しかしそれは一昔前までのこと。コークスは鉄鋼生産においてなくてなならないばかりか朝鮮にはない原料だが、朝鮮ではコークスを使わず鉄鋼を生産する、「チュチェ鉄」生産技術を確立し、もうコークスを必要としていない。去る5月1日に竣工した順川リン肥料工場建設過程でも、戦略物資である黄リンの無コークス生産技術を確立した。コークスを超えることは朝鮮の科学技術者にとって必ず克服すべき課題で、それは実現している。次に原油だが、朝鮮では2000年代に入って石炭液化技術を確立、大規模生産施設を稼働させている。最終段階にある石炭ガス化によるC1化学基地が完工すれば、朝鮮は石油化学から石炭化学に完全に転換することになろう。これに加えネックになっていた食料の自給自足も目の前だ。昨年に穀物生産650万トンを実現しており時間の問題だ。
 自立、自強は単なるスローガンではなく、朝鮮で実現している現実だ。
 金與正党第1副部長が去る7月10日に発表した談話で、金正恩委員長がトランプ大統領に直接、①華麗な変身と急速な経済繁栄の夢のために、わが制度と人民の安全と未来を担保もしない、制裁解除などと決して取引しない②米国がわれわれに強要してきた苦痛が米国に反対する憎悪に変わり、われわれはその憎悪をもって米国が主導する執拗な制裁と封鎖に立ち向かい、われわれ式に、われわれの力で前進していくということーを告げたと明らかにし、次のように指摘した。
 「われわれは制裁の解除問題を米国との協商議題から完全に捨ててしまった」
 斯くして、「史上最大の経済制裁」もこれ以上、有効な圧力手段として機能しえない。実際朝鮮は昨年末の党会議で米国の経済制裁を正面から突破する、正面突破戦を決議しており、米国との、「制裁解除対非核化」対話は破綻しいる。「制裁解除」、人道支援などは交渉の材料にもなっておらず、朝鮮は正面から「敵対政策の撤回」を求めるに至っている。一方朝中関係において朝鮮は、一昨年の朝米シンガポール首脳会談の前に、朝中首脳会談を実現させ、ぎくしゃくしていた朝中関係を修復したことを付言しておく。
「米国式自由主義」が入り込む隙は無い
 朝鮮側が問題にして連絡事務所の爆破にまで至った、米国の支援下で行われていた朝鮮への風船ビラ散布は、朝鮮に「米国式自由主義」を移入するための敵対的工作だ。朝鮮ではこれを西側の「思想文化的浸透工作」として警戒、排撃してきた。朝米非核化交渉の破綻が明確になった昨年12月、金正恩委員長が「白頭山大学」で朝鮮の革命精神を学ぶべきだと述べたのは記憶に新しい。米国との対立が激化することを前提に先手を打って「思想文化的浸透工作」を無力化させる措置で、「米国式自由主義」が入り込む隙は無い。米国が軍事境界線の南側から風船ビラを飛ばしたり、中朝国境沿いで人づてにUBSメモリーを送り込むなどの、稚拙で手工業的な方法に頼っているのは、ラジオ放送などのプロパガンダも完全に封鎖されている状況での苦肉の策に他ならない。CIA/NEDは朝鮮で反政府勢力の拠点、カラー革命の拠点を築くことはできない。
 米国が朝鮮の体制崩壊を実現させる敵対政策の重要な手段である、核兵器を振りかざした軍事的圧力、経済的に疲弊させ追い詰めようとする経済制裁、体制内部からの動揺を誘う「思想文化的浸透工作」のどれも有効に機能していない。
 米国が「リビア方式」にしがみつき、執拗に朝鮮の体制崩壊を追求したことで、朝米非核交渉が破綻した。朝鮮に対する一方的非核化を強要する関与の道を失い、米韓は混乱し、慌てているようだ。
 朝鮮の「国家核戦力の完成」の威力は凄まじい。米国が朝鮮戦戦争以来追求してきた対朝鮮敵対視政策は破綻が免れなくなった。(M.K)