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【解説】北側、首脳会談合意守らず敵対行為煽り立てる南側を非難、関係破綻に直面、慌てる文在寅政権

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 朝鮮労働党中央委員会の金與正第1副部長が4日、「脱北者」によるビラ散布などの対朝鮮敵対行為を非難する談話を発表したのに続き、5日には朝鮮労働党統一戦線部スポークスマンが談話を発表し、南朝鮮当局をした。

 金與正第1副部長の談話は「南朝鮮当局の黙認下で『脱北者』のクズどもが反共和国敵対行為敢行」とのタイトルで、統一戦線部スポークスマンが談話の「敵はやはり敵だという結論を下すことになる」とのタイトルで労働新聞に報じられた。

タイトルだけをみても明らかなように、談話は単純に「脱北者」によるビラ散布を取り上げたのではなく、「対話」「協力」を唱える微笑の影で追及されてきた文在寅政権の敵対行為をあぶりだし問題視した。

金與正第1副部長談話は「もともと悪行を働く者よりも、それを見て見ないふりをして煽り立てる者がもっと憎い。南朝鮮当局は、軍事境界線一帯でビラ散布など全ての敵対行為を禁止することにした板門店宣言と軍事合意書の条項を決して知らぬとは言えないであろう」と指摘した。朝鮮側は談話で、南北合意を踏みにじる「脱北者」の敵対行為を、文在寅政権が黙認しているだけでなく「煽り立て」ているとの認識を示し、▲北南共同連絡事務所の閉鎖▲開城工業地区の完全撤去▲北南軍事合意の破棄―等、「最悪の局面」を予告した。

文在寅政権は朝鮮側の談話に慌てふためき、「対北ビラは実に百害無益なもの」(青瓦台)「強制的にやめさせるための法案を検討中」(統一部)などとしているが、真実味がなく一時しのぎの弁明に聞こえる。

というのも、文在寅政権がビラ散布などの敵対行為を取り締まる立法措置について言及したのは初めてではないためだ。

文在寅政権は4.27板門店宣言直後の2018年5月1日、「敵対行為の中止」のための「立法など、関連対策を検討」すると発表した。しかし実際にとられた措置は何もない。「検討」発言から2年間、立法措置などが模索された形跡は何もなく放置されてきたのが実態である。

文在寅大統領は、口先だけで、首脳会談での自らの約束を守るための措置を取らず放置してきた、とのそしりを免れない。

このため韓国当局が認めているように、「脱北者」によるビラ散布は昨年に10回、今年は3回強行されたが、文在寅政権は制止しようとしなかった。「脱北者」が韓国の情報機関である「国家情報院」の管理下にあることは秘密ではない。韓国で「脱北者」が「国家情報院」の意向を無視してビラ散布を強行することが不可能なのは、三歳の子供でも知っていることで、文在寅政権に弁明の余地はない。

対南事業を統括する金與正第1副部長は統一戦線部に、自身の談話内容を「実務的に実行するための検討に着手」することを支持したという。

これを受け統一戦線部は、南から挑発を根源的に除去し、南側との接触空間を完全に遮断しなくしてしまう決定的な措置を取る姿勢を鮮明にした。手始めにまず、北南共同連絡事務所を閉鎖し、他の措置も順次実行に移すと指摘した。

文在寅政権が「敵対行為を中止」する根本的な措置を取らなければ、南北関係は破綻に直面することになる。

朝米非核化交渉が終焉し再開の可能性がない状況で、南北関係が破綻すれば、米韓は朝鮮に関与する手段をすべて失うことになり避けたいところであろう。

だからと言って文在寅政権の、口先だけの曖昧戦術が通じるとは思えない。

逃げ道を塞がれた文在寅政権の動向が注目される。(了)