朝鮮労働党金與正第1副部長が、「脱北者」が最前線地域から朝鮮を非難するビラを大量に散布したことを非難し、これを黙認している「南朝鮮当局」に警告する談話を発表した。
朝鮮中央通信は、「南朝鮮当局の黙認下で『脱北者』のゴミどもが反共和国敵対行為敢行」とのタイトルで談話を配信した。また談話の内容は「脱北者」のビラ散布を非難しただけでなく、これからは「その主人に責任を問わなければならない時」だと指摘、板門店宣言と南北軍事合意の破棄に繋がりかねないと警告している。
金與正第1副部長談話は、これ以上朝鮮に対する敵対行為が放置された場合南北関係は破綻を免れないことを明らかに警告したもので、文在寅政権の対応によっては三回にわたる首脳会談で積み上げられた信頼と合意が一挙に崩れ去りかねない。
談話は次のように指摘している。
「犬たちが這いずり回りながら酷いことをしているので、これからはその主人に責任を問いただす時だ。もっとも不適切な時期を選び最も卑劣な方式で『核問題』を云々しながらわれわれに対する誹謗中傷を躊躇なく行った犬どもの行為に対する尻拭いをする準備ができているのか南朝鮮当局者に問いたい。
私は良くないことをする者より、それを見て見ぬふりをしながら煽る者がより憎い。
南朝鮮当局は軍事境界線一帯でのビラ散布をはじめとするすべての敵対行為を禁止することにした板門店宣言と軍事合意書の条項を知らないとは言えないはずだ。」
このような指摘は朝鮮側が、▲ビラ散布は南北合意違反▲南朝鮮当局が見て見ぬふりをして煽っている▲その責任を問うときがきたーとの姿勢を示していることだ。
この上で談話は次のように警告している。
「明らかにしておくが、また何か弁明を並べ立てそのまま放置するならその代価を、南朝鮮当局は厳しく支払うことになる。
もし南朝鮮当局が今回自分の村で同族を狙った悪意に満ちた雑音が出たことに対して応分の措置をとらないのなら、それが金剛山観光廃止に続き、使い道もなく放置されている開城工団の完全撤去になるのか、あってもうるさいだけの北南連絡事務所の閉鎖になるのか、あってないような北南合意の破棄になるのか、いずれにせよ十分に覚悟しなければならない」
金與正第1副部長談話は、まだ「南朝鮮当局」との表現で名指しは避けているが、その内容は「北南合意」の当事者である文在寅大統領自身に向けられている。
朝鮮は今までも、米国の承認を乞いながら南北関係進展に取り組まないばかりか、米国との合同軍事演習を強行する文在寅政権に対する警告を重ねて発してきたが、首脳会談での合意文書廃棄にまで言及して警告したのははじめてだ。
「善意と敵意は融合できず、和合と対決は両立できない」
談話が指摘するように、北と南の関係は大きな曲がり角にさしかかった。