韓国の進歩的なインターネット情報サイト「自主時報」は29日、ムンギョンファン国民主権連帯政策宣伝委員長が執筆した、文在寅大統領と政権与党の「対北政策」に対する分析記事を掲載した。
「民主党180席時代、南北関係は前進するのか」と題した分析記事でムン政策宣伝委員長は、選挙で与党が勝利し南北関係の改善を期待する世論が高まっているが、文在寅政権はこれに答えるのではなく以前と変わらない対北政策を進めている、と指摘した。
同氏は選挙で勝利した文在寅政権は、「コロナ協力」「気候変動共同対応」「南北鉄道連結」「非武装地帯国際平和地帯化」「離散家族再会」等を打ち出しているが、一方だけが望むものではなく双方が望む案件を進めてこそ南北関係を改善、前進させることができると強調、要旨次のように指摘した。
開城工業団地と金剛山観光の再開は文在寅大統領も約束した。世論調査の結果と国民の期待から見て開城工業団地と金剛山観光の再開は南北関係の尺度だ。
この視点から見れば政府が出した計画は南北関係発展というにはあまりにもみすぼらしい。南北鉄道連結問題は南北を繋ぐのではなく南側の鉄道工事をはじめたにすぎず、「コロナ協力」は現在できることがない。
文在寅政権が開城工業団地と金剛山観光の再開などの南北関係の改善に踏み込まない原因についてムン委員長は、米国が「承認」しないこともあるが、本質的には文在寅政権の基本的な対北認識に問題があるからだと指摘している。
この点について同氏は、文在寅政権の対北認識は「反北朝鮮」と「協力」の二つの側面があるとしながら、次のように指摘している。
二つの側面の内、基本軸、重きは「反北朝鮮」にあり、朝鮮の体制に反対するという点では保守野党の未来統合党と変わりがなく、方法論において圧迫と封鎖を主張する保守野党とは異なるが、「反北朝鮮」に重きを置く以上「協力」は色あせる。
金大中元大統領も「反北」で「協力」を唱えたが、重きを「協力」において統一論議も進めた。金大中元大統領は米国との摩擦を甘受しながら南北関係を進めたが、文在寅大統領は米国がノーと言えばすぐに受け入れる。このため文在寅政権は金大中政権と比べものにならない。
「北朝鮮崩壊」に対する態度も同じだ。金大中元大統領は「北朝鮮崩壊」を公開席上で言及したことがない。保守野党は一貫して「北朝鮮崩壊」を主張している。文在寅政権と与党民主党は金大中政権より保守野党に近い。すなわち南北関係改善を語るとき金大中政権は統一志向を含んでいたが、文在寅政権は「北朝鮮崩壊」のために南北関係改善に言及している。
ムン委員長はまた、朝鮮半島の非核化問題においても文在寅大統領はトランプ政権のビックディールを受け入れ、朝鮮にビックディールを受け入れさせようとしていると述べている。同氏はビックディールは「リビア方式」に羊の皮をかぶせたものだが、実は文在寅政権が羊の皮をかぶせたと批判した。
親米で同族に敵対的
さらに同氏は、文在寅政権は朝米対決に対しても米国が正しく朝鮮が誤っていると考え、米国の専門家が、米国が間違えており、朝鮮の方が合理的だと言っても、米国が誤っているとの立場を示したことは一度もないと、その親米的姿勢を厳しく批判した。
最後に同氏は、文在寅政権、民主党勢力に任せておいては、南北関係は進展しない、国民が立ち上がるべきだ、国民が改革と統一の旗印を掲げて民主党が国民の意思を実現するように命令し、統制し、引っ張っていかなければならないと主張した。
韓国の進歩的な民主化勢力は今まで、開城工業団地、金剛山観光の再開を求めてきたが、文在寅政権に対する非難はできるだけ避けて同政権がその方向に進むよう要求するにとどめてきた。
一部には文在寅大統領を批判する声があったものの、広範な進歩的民主勢力を代弁する情報サイトが文在寅政権の対北政策を分析して、表向きの南北対話の影に隠されていた「北朝鮮崩壊」政策をあぶりだして非難したのは初めてとみられる。